でも、なんでこの子は俺のこの重い悩みも理解できるんだろう、女子高生なのに。
そう思った。
事態は思いも寄らない方向に進む。
いろいろ相談に乗ってたんだ。
彼女の過去が明らかになる。
「私の本名知ってます?」
いきなりな質問。
「えーっと、石田 琴乃だろ」
「違うんですよ、ホントは」
なんだ、琴乃はハンドルネームだったのか。
安易にそう考える俺。
「けいこって言うんです。」
いい名前だ、本当に、なんかかわいい。
「そんな事無いんです、中学校の時は辛かったです。」
いじめられた…のかな。
「で、変えたんです、名前」
言葉が出なかった。
自分の名前がそこまでに嫌いになれるなんて…。
あるのか。
いくら俺の名前が一般的であんまりカッコよくないなあ
と思ったって、そこまで嫌いになることは無い。
珍名じゃないんだし。
俺には気の効いた慰めの言葉なんて出てきやしない。
いつも出るのは本音だけ。
だから今日も出たのは本心だけ。
「けいこって名前も…かわいいぞ、俺はいいと思うな」
やっぱり気のきいた言葉は出ない。
でも、本当に思ったんだ、かわいい名前だって。
少しは通じたらしい。
「シンゴさんになら話していいと思って。」
うれしい。
本当に嬉しい。
でも、気のきいた言葉は出なかったね。
ごめんね。
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