「あ、そうだ」


「どうしたの?」


「退院したらお礼するよ、何が良いか考えといてくれよ」


「いいよ別に」


「そんな訳には行かない、時間も金もかけて助けに来てくれた恩人に何もしないのは俺の気が治まらない」


「天斗の性格じゃ確かにそうかもね、・・・じゃあね〜、実は二つあるんだ」


「おう、何だ、何でも言ってくれ」


「一つはね、またデートに誘って欲しいな」


「またデートってのに語弊があるがお安い御用だ、お礼に飯ぐらいいくらでも」


「もう一つはね〜」


「なんだ?」


「そうだね、お礼のキスして欲しいな」


「は?」


「・・・何度も言わせないでよ、恥ずかしい」


真っ赤になっている観登。



「きす?」




鱚 

きす 

スズキ目スズキ亜目 キス科

海岸近くに生息し、食用・・・




・・・の方じゃないよな、間違い無く。


「そ、そそそそ、それはおめー」


「何でも言えって言ったから言ったのにー」


「何でもってそれはアレ、ほら」


「うそつきだー、天斗はうそつきだー」


「いや、俺はもっとこう何か欲しいモノとかが来ると思うじゃねーか!、第一俺肺炎なんだろ?うつったりとか・・・」


「うつらないんだって、天斗の肺炎」


「そうか・・・でもほら!お隣のベッドの人とかに聞かれたりとかだな!」


「良かったね、ここ個室で」


「そうだったのか、気付かなかった・・・いやほら違うって・・・な?」


「ほっぺでいいよ」


「場所の問題じゃ・・・」


ほっぺたを出して待っている観登


ぬー


・・・ま、礼代わりなら仕方ないか。



その日は熱でボケてたのもあったかもしれない。


助けてくれたお礼と割り切ったのかも知れない。


そう言って理由付けが出来たと自分をごまかしたのか


何だかよくわからないけど



ひどく無機質な病室で



俺はみんとの頬に軽く口付けした。




第六章あとがきへ