女児出産悪夢変




5/4 晴れ

大石君が来てくれるはずですが、僕たちの一身上の都合により来てもらえなくなりました。

さらに今日は会社でタダで貰ったチケットで全日本プロレスを見に行く予定でしたが、腹痛と嘔吐で行く事を断念しました。

しかし断念したとたん、みるみる回復していきました。

まるでこれから始まる悪夢へのプレリュードのようでした。






5/5 また晴れ


嫁だけがまだ腹が痛いと言っています。




また語ってやがるとか考えましたが、そう言えば最近嫁の腹が究極的にデカくなっているような気がします。



まあ普段から究極的にデカかったのでわかりにくかったんですが…










多分この腹は俺が思うに極度の便秘なんだろうと哀れに思いました。














しかし何故か我々は僕の実家におります。


よくよく考えると産婦人科にも行ってたような気もします。


さらに最近嫁がベビーカーが云々言ってた気もします。


この事から想像するに、多分この人は七割方妊娠しているのかもしれません







夫婦の会話が少ないとこう言う事すらわからないもんです。







それもこれも議員が年金を未納しているせいにしておこうと思います。






しかしここで困ったことがあります。

それは何かと言うと、






















僕は年金を払っていない事です。






どうせ破綻する年金なので貰えないかもとかはこの際どうでも良いのですが、




















二十年後、僕が与、野党合意、全会一致で総理大臣に任命された時に、こいつは年金を払っていないと
つめられたら言い逃れ出来ないかもしれない点です!




じゃない






これもスーパー大事ですが、もうすぐ出産だそうです。



しかしまあ、放っておいてもそっちは何とかなるだろうと思いました。



しかしこの嫁は飯食ったら陣痛かも?と言って脅しやがります。



そう言って僕の気を引こうとしているようです。



そんな手でしか会話にならないのかと夫婦の末期感を感じましたが、どうやら本当に痛いらしいです。


全くまぎらわしい奴です。








5/6 晴れ

ゴールデンウイークも終り、今日から出勤です。


僕は嫁から解放されると思うと、喜び勇んで会社に出かけました。

頑張って営業です!


朝からなかなか好調に契約を取って行っていると、昼前に電話がなりました。



誰かと思い、携帯の画面を見ると嫁の名前を表示していました。















嫌すぎてつい切ってしまいそうになりましたが、渋々出ることにしました。











『産まれそう』






そんな訳のわからん呪文を唱えられました。








もう仕事どころではありません。

それはまるでドラクエで言ったら



あと一撃で死ぬキングメタルにザキかけて効かずに逃げられてダブルショック受けた上、
横から見てる友達に







『自分何してんの?そんなん効かへんに決まってるやん』



と、冷たくあしらわれて、まるで僕にザキがはね返ってきたかのごとく冷たい雰囲気で一杯でトリプルショックに発展したかのようでした。


















もうお仕事になんてなるもんですかっ!












その後は営業も説明も仕事内容も何も覚えていません。

今度はまいまざーから電話がありました。




『産まれるって、いまから入院やって』

がちゃり

つー、つー、つー




















もーあんた、そんなんますます仕事になりませんやん!













今の僕の心境を表すとしたら

小学生が下校中にうんこ踏んで、そのうんこを取ろうとしていると皆に見付かって、
さんざん馬鹿にされて、やっとうんこ取れたと思って靴履こうとしてバランス崩して田んぼに落下してさらに笑われて、
その田んぼから上がろうとしたら勢い余ってとなりのドブに頭からダイブしてさらに大爆笑を買い、凹んでいる所を片想いの女の子に同じように見られてしまっていて
















『もう・・・ 明日から学校行きたくないよ』












くらいのショック感でした。

こんなことを書いていたら、


、中学の時にうきょーが朝、学校行こうと家の玄関を出た瞬間に、上から鷺(さぎ)にうんこされてうんこまみれになり、その日はジャージで登校してきて学年中で大笑いされていた事、そしてその後うきょーは鷺を見る度に石を投げつけていたことを思い出しました。











そしてそのうわさをばら撒いたのはほかならぬ僕だったことも思い出しました。





僕がネタでこう書いているだけなのに自分で体を張ってやっていたうきょーに















若干の温かい目を注いでやろうと思いましたが、友人はきっぱり辞めたほうがいいなと思いました。

























というか首を狩られたのにいまだに友人を続けている僕は本当にユダに裏切られても耐えた『イエス・キリスト』に近しい存在だと思いました。














って言うか僕がキリストかもしれません。








とにかくさっさと仕事を終わらせ、さっさと帰りました。


病院に着くと嫁は苦しんでいます。

苦しんでいる横をふと見ると大変美味しそうな夜ご飯がおいています。

よく見てみると、牛フィレステーキ(国産)、えんどう豆の冷製スープ等、非常に豪華です。

この産婦人科は食事がコースみたいになっています。





食べたいです。









ものすごく食べたいです。









嫁を差し置いて僕が食べたいです。




しかしここで食べたいと言う気を見せたら後々攻められるかもしれません。


ここは自分であげると言わせなければなりません。



営業で鍛えぬいた話術できっと勝ち取って見せます。






「おい、痛いかも知れんけど頑張って食べろや」






「いい、食べられへん」






「いや、がんばって食っとけって」






「無理、食べて」






「しゃーないな」









にやり









「あん時の肉返せとか言うなよ」






「ゆわへん」










にやり







こうしてこのおいしそうな肉の塊は僕が頂く事になりました。


うまいこと晩飯を獲得した僕は、親が帰ったあとに一人で食しました。


しかし冷製スープははじめは旨かったのですが、だんだん要らなくなってきました。


横には嫁がいます。
しかし、おいしくないからと言って渡しても食うような奴ではなかったので一計を案じました。


おい、これ口さっぱりするからこれだけでも飲め


案の定飲みました。



僕は何と相手を気遣うことのできる素敵なナイスガイなのだろうと自分で自分に酔いしれました。




日にちが変わろうかという頃に痛みはピークに達したらしく、ブンベン室に嫁は入っていきました。



僕は立ち会い出産というのに納得行かない方なので個室で待機していました。



聞く話によるとここから初産は二時間くらいかかるそうです。



早くても一時間はかかるらしいです。



女性は大変です。



凄い痛いらしいのにさらにそれが何時間も続くのです。



余りに可哀想です。



珍しく僕が嫁に対して涙でも流してやろうかと思いましたが、皆にメール送るのに必死だったのでやめてあげました。



僕は他人の前では涙を見せない素晴らしい男だなと思いました。



その時、部屋の電話がなりました。



僕は丁度携帯を使っていたので、センサーか何かにかかってバレ他から怒られるのかと思い、受話器を取るのをやめようかと思いましたが、潔く(しぶしぶ)取りました。





「はい」




「おめでと

うございます」

何がめでたいんじゃ、今から怒られるのに



「元気な女の子が産まれましたよー」



は?










……















そう言えば僕は出産に立ち会っていたのでした。




気が動転していて真剣に忘れていました。



「え、もう産まれたんですか?」



「はい、元気な女の子ですよ、十分位したら廊下に出てきてください。」



がちゃり



時計を見たら三十分も経っていません。



やっぱり泣いてやらなくてよかったです。


十分して部屋を出ると、丁度看護師さんが出てきたところです。


ふと見ると僕の子供(かどうかは定かではない)らしいのを抱いています。


どきどきします。


きっとめちゃめちゃ可愛いのでしょう。


カイザーがあんなに親馬鹿になるくらいです。


楽しみです。


顔を見ました!


ぶさいくでした。

目は大きくて可愛いのですが、頭は伸びてるし、しわしわだし…

僕はつい看護師さんに
可愛くなりますかね?
と聞いてしまいました。


嫁より先にだっこさせてもらいましたが、えげつなく小さく、危うく我が子(であることを心より望む)を潰してしまいそうでした。
で、我が子(でなく、他人の子であったならいかがしたものか)と別れ、部屋を片付けて嫁を待ちました。



しかし出産後は動けない、何も食べられない等営業先で聞いています。

しかしここで何か用意しておかないと、さっきの肉返せ!といきりたって殴られても嫌なので、僕好みの美味しそうなパンを用意しておきました。



多分食べられないと言うでしょう。
そうなったらしめたものです。



二時間後に嫁が帰ってきました。



もう夜中の二時を越えています。



さすがにパンは食わないでしょう。



でも僕は食べたいです。



二個とも食べたいんです。



僕の作戦勝ちです。



で、落ち着いた頃に聞きました。

「パン食べるか?」




もう答えは決まっているでしょう。





世界は僕のために回ってるようなもんです。




肉もパンもダブルでゲットです!





『うん』








………


















僕の予想とは裏腹の声が聞こえた気がします。


「え?」







『うん、食べる』







ありえません。





そんな答えはありえません











むしろ父さんはそんな子に育てた覚えはありませんし、よく考えたらこんなでかい奴育ててもいません。








この食欲魔人は結局焼きそばパン一本分をこの夜中に平らげました。


やっぱり涙など流さなくてよかったと心からそう思いました。


で、一旦実家に帰り、寝ようかと思うと親どもが起きてきました。

話しているうちに酒が出てきて飲み会と化し、夜がしらみはじめ、結局朝まで飲み明かしてしまいました

おかげで睡眠が取れずに困りました。







5/7 晴れ



で、また昼前に病院に行き、愛娘に会いに行きました。




この際嫁はどうでも良いです。













良く考えたらもともとどうでも良かった気がします。













と、こんなことを書いてしまって、いきなり僕が行方不明になったり、殺人事件にあったりしたら、まず嫁を疑ってください。







疑うよ


りも、『犯人は奴です』と各方面に伝えていただいても結構です。


それはさておき、愛娘に名前をつけなければなりません。






僕は彼女に

みいの

と名前をつけてあげました。

名付けの儀式を行い、彼女はみいのになりました。




しばらくすると僕の父母がきました。



子供は夜中生まれたので、僕の父も母もまだ見ていません。



病院はその後まるでお祭り会場のようになったり、写真撮影会のようになりました。



どうやらまだわれわれには酒が残っているようです。



・・・別に特段酒などなくてもこんなもんだったような気もします。



そして、晩にはカイザーとタカオと祝いの酒をかっくらいに行きました。


カイザーの子供が出来た日もその晩に祝酒を飲みに行ったので、カイザーが仕返し…もといお返しに連れて行ってくれました。


あんな顔をしてもいい奴かもしれません。








と、一時の感情に任せていい人とか書いてしまいましたが、今までの行動を考えたらそんな事書けたようなモンではありません。



その件はさておいて、カイザーの時と同じ小洒落たバーに行きました



その店は色んな酒を作ってくれる店でした。



カイザーの時は、僕がカイザーには「めでたい酒を作ってやってくれ」と言ったら、





まるで正月のおせち料理みたいなめでたそうな酒(紅白で鶴の飾りがあった、さらにおいしくない)が出てくると言う訳のわからん  









・・・うおっほん センスのかけらも見当たらない







・・・・・・ごほんごほんまあそんなイカした店








・・・誰や!いまイカれた店ゆーたんは!!






イカした店に行きました。

「今度はお前があのめでたい紅白の飲めよ」

そんな話題で大盛り上がりしながら店の前に行きました。

















が、見事に潰れていました。








やはりあのセンスではこの宝塚ではやっていけなかったようです。



祝った相手のカイザー息子に暗雲が立ち込めなければいいのですが。


で、仕方がないので別の店に行ってめでたい酒を作ってもらいました。

ここも店内は小洒落ていたのですが、あまりめでたそうではなく、味もさっぱりでした。

このままではこの店も危ないかもしれません。


で、カイザーとタカオと別れ、泥のように眠りました。








5/11 晴れ


明日は退院です。

僕はみいのの名前を書く名付け色紙うを用意しなければなりません。

しかし僕は字が若干下手なので、困ってしまいました。

かといって書道家に知り合いもいなければ字がきれいな友達など皆無に等しいです。

悩みまくっているとひとつ思い出しました。


鈍何処の母親が書道家です。

早速電話して書いてもらっていました。

完成が今日です。


夕方に鈍何処が、もとい色紙が来ました。








よし、帰れ!と言うわけにも行かず、鈍に酒をおごることにしました。

二人で9千円くらいでした。

この金で誰かに頼んでもさらに安かったかもと言う一抹の不安を隠し、鈍を見送りました










5/12 晴れ





いよいよ退院です。

みいのは一張羅に着替え、病院の玄関で写真を取り、車に乗って僕の実家へと帰っていきました。

・ ・・かえって行きましたの意味がわからん?

簡単な話です。

僕の車には、父、母、嫁、でっかいチャイルドシートに乗ったみいので満員だったので、
僕だけバイクでした。

看護士さんにも





「あらあら、パパだけひとりぼっち?」

と言われてしまいました。

みいのが大きくなって、嫁も僕に飽きてきた時に必ずこうなりそうなので、予行演習と思い耐えました。

僕はなんと耐えることの出来るいい男なのだろうと感心しました。



帰ってお祝いの集計をしました。

いろんな人から多々お祝いをいただきましたが、中でも変わっていたのは、
ROMからのお祝いでした。

現金書留が来たと思ったら







○ 万7千750円



と言う半端+小銭つきでした。


中の手紙を読むと、ゴールデンウイーク中にバイトで稼いだ分丸々入っていました。



明細を読むと、遅刻と失敗のマイナスインセンで千円くらい引かれていたので皆で大爆笑しました。



全く愉快な奴です。








しかし気づいたら、首を狩ったうきょーさんからのお祝いや面会がありませんでした。



狩りっぱなしはよくないです。










彼にはキャッチアンドリリースの精神などないようです。






このままだと、うきょーさんの結婚、出産の時にはお祝いではなく







呪い



と書いた何かを進呈する羽目になるかもしれません。


うきょーさん、私の家にはあなたのお祝いの余裕が若干と言わずに多々あいております。






おしまい





ついしん


お祝いメール、カキコ、電話してくださった皆様

どうもありがとうございました。

みいの共々これからもよろしくお願いいたします!!



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