エピローグ
消えた。
さっきまで大勢居た竜牙兵や、ゾンビ達が一瞬で消えてしまった。
「終わったのか?」
モモが呟く。
さっきまで黒い雲に覆われていた空もだんだん消え、青空が見える。
いまでは無人の野になった所をにゃんこが軍団めがけて駆けてくる。
結局最後まで見ていたにゃんこがカイザーとシンゴにに報告する。
暗黒神撃破と仲間の全滅の報は全軍に知れ渡る。
英雄達の死は全軍に重々しい雰囲気を漂わせる。
しもる王が前に出て
「我等の勝利だ、勝鬨をあげよ! 打たれた全仲間を弔うために!」
勝鬨がこだまする。
その中からシンゴとカイザーと数名の神官が軍を離れる。
にゃんこが来た方面に歩いている。
「いるな」
カイザーに呟く。
「ああ、いるな」
カイザーが答える。
歓びの輪を離れ、林に入った。
「俺は宗派が違うがな」
幸運の神の司祭であるカイザーは一歩引いた所にいる。
「ファリスよ」
その声に導かれ白い霧は神官の周りを取り囲んだ。
「ファラリス撃破、感謝する」
そんな神聖語が響く。
「我等ではありません、偉大な神官、戦士、そして魔法使いが行ったことです」
「やはり我ら神は地に降りてはならぬ」
「そんなんわかっとるわい」
神に対しても態度を一貫するカイザー。
「神よ、一つだけ願いが」
「聞こう」
「せめて…」
・・・・・・・・・・・・・・・・
一体どのくらいの時がたったのだろう。
目が覚めたら横でこなが人間大の角のないサイクロプスと酒を飲んでいる。
俺、まだ目覚めていないのか?
やっと起きたのか、ホッホー」
「ここは?」
「どうやらあの世みたいだわ」
ああ、死んだんだったな。
マグマが熱かったのかもわからん。
「ホッホー、こいつ良い奴だぞ」
こなは上機嫌だ。
どうやらさんたとやりあったときのサイクロプスの王のようだ。
死んだら言葉も通じるのか。
便利だな
「やっぱり俺たち死んだのか」
「そりゃーおめー、マグマに突っ込んだら死ぬわな」
確かにな。
辺りを見回す。
結構何もないな。
草原に数本木が生えているくらいでなにもない。
「そうか、クライとケンタは?」
「ああ、帰ったよ」
あの世にも家があるのか
「そんなチンケな事よりよー、お前も一緒に飲んだらどうだ?」
にやにや笑うこなみるく。
不審に思いながらも一緒に酒をくみかわす。
そうか、今度こそ死んだのか。
これから何をしたら良いんだろう。
きっとこの時間が永遠に続くんだ。
漠然とした思いが俺を包む。
「なあ、俺達これから何したら良いんだろ?」
こなに訪ねてみる。
「まだまだすることは一杯あるさ、きっと俺たちにしか出来ない事が」
「そうかな」
「ああ」
酒をちびちびやる。
こなもサイクロプスもにやにや笑っている。
そんなに楽しいのか、死んだのが。
・・・後ろに気配を感じる。
振り向くと見たことのある巨大な天使が仁王立ちしている。
「飲んでるかー」
お魚さん!
「久しぶりやのー、また死んだらしいなー」
「ははは、まあ」
「でもラッキーやなー」
「何がですか?」
「何や、まだ聞いてないんか?」
「?」
「また復活できるんやて」
「は?」
「お前等今回は死ぬ予定やったからホンマはアカンねんけど、ファリスの神さんが誰かに頼まれたらしい」
「ま、うちはマイリーやからホンマは聞かんでもえーねんけどな、まあお前等ファラリス殺ってくれたからな、神さん全員で考えてお前らのパーティ限定で特別に釈放や」
「じゃあケンタ達が帰ったって言うのは」
「ああ、下にな」 こ
「お前は?」
「待ってたんだろーが、死ぬ前に一緒にって言っておいて先帰ってたらカッコつかんだろーが」
「こな・・・」
「さあ、はよ帰れ、皆待っとるやろ」
「あ、はい」
「よっしゃほんだら行くぞー、しっかり捕まっとけよー」
目が覚める。
俺達がさっきまで戦っていた所だ。
「装備品も返したるわ」
貰った聖者の服も、指輪も元通りの姿で身についていた。
「何で俺だけフルチンなんじゃー!」
こなは素っ裸だ。
「お前フルチン好きなんと違うんか?」
「好きやけども!」
好きなんかい
「ホッホー、こな!」
向こうからケンタとクライが駆け寄ってくる。
がっしり抱きつく。
「ぎゃー!下半身がくっついて気持悪いー!」
こなに抱きつかれたケンタは地獄の責め苦を味わっている。
ひとしきり包容を終え、こなも装備を付け、城に向かう。
城下町に入る。
喝采が起こる。
「ちょっとした英雄なのかな」 ケ
「そうみたいだな」 ク
「遅いよ!」
にゃんこが輪の中心で待っていた。
「さあ、さっさと城に行くよ」
「いるかってのは?」 こ
「一緒に復活してナラに帰ったよ」 にゃ
「良かったな」 ク
にゃんこを加え、歓声の輪を抜けガッセ王城に俺たちのパーティー皆で入る。
「よう、帰ったか」
大石騎士団長が声をかけてくる。
「ああ、お前も生きてたのか」 こ
「あたりまえだわ」 大
階段を上る。
「おかえり、皆待ってるわよ」
さゆりが嬉しそうに出迎える。
さゆりの先導で王の間まで来る
『第六部隊! 帰還!』
兵に戸を開けて貰う。
王の前に着く。
しもる王だけでなく、ろし王、松本、琴乃、シンゴ、うきょーや挙句の果てにはカイザーも居る。
「ホッホー以下第六部隊、全員帰還致しました」
「ご苦労、英雄達よ」
しもる王がねぎらいの言葉をかける。
「皆の者、祝賀会だ!英雄の帰還を祝え!」
しもる王の号令で、その日はそれから国をあげての大宴会になる
生き残った民たちにも酒が振舞われ、まさしく国全体が歓喜に沸いた。
喜びに沸いた長い夜だった。
やがて朝が来る。
次の日も。
その次の日も。
日は繰り返し訪れる。
人々は壊れた建物を直し、生活をし、働く。
俺たちも・・・
結局大きなダメージを受けた一戦だった。
オオイシ騎士団、ロシニョール騎士魔法団 半分が撃たれる。
ロシニョール聖騎士団、ロシニョール騎士魔法団 三分の一が撃たれる
こなみるく傭兵団 三分の二が撃たれる。
いちよん騎士団に至っては全滅だった。
国力、兵力ともに少しの間に一気に疲弊した。
建て直しは時間がかかるだろう。
変わったこともあった。
今は廃墟となったナラ王国の王としてロシニョールの元建国王シンゴ卿が迎えられた。
国の再生の実績を認められてのことだろう。
宮廷魔術師にシャーマンではあるものの松本さんが、騎士団長にカオスさん、そしてこの戦いで腕をやられてシーフとして働けなくなったモモさんを、傭兵団長にうきょーを。
聖騎士団長をケンタがやることになった。
俺たちより先に復活したいるかも元のナラ王国魔術団長に任命された。
宮廷付司祭をなんとカイザーがやることになった。
「しばらくだけや」
そんな事を言っていた。
「大稼ぎしてやる」
二代目ショップカイザー社長に任命されたにゃんこは会長のカイザーの助けを得ていろんなところに飛び回っている。
クライはもともとシンゴ、うきょー両名の居た神殿を任された。
貴重品保管庫の番人としても役立ちそうだ。
「なあ、本当にガッセに戻らないのか?」
ケンタが俺に言う。
「ああ、今の所な」
俺はと言うとガッセの宮廷魔術師に戻れという辞令を貰った。
「じゃあ俺と一緒にナラに来いよ、まだまだ人が足りないんだ」
「いや、やっぱり戻るならガッセなんだ」
「そうか、これからどうするんだ?」
「もう少し見聞を広めてくる」
「まだ冒険者やるのか?」
「ああ、今までの俺は胃の中のオカズだった」
「池の中のかわずね」
ひさびさにネタをやってもあっさり交わされる。
「さんたに魔法力で負けたり、くろねこに立ち向かう体力も無かったり」
「ほう」
「ケンタみたいに聖なる血の持ち主でなけりゃ、こなみたいに力がある訳でもないし、クライみたいになんでも器用にこなすわけじゃない」
「そうかな」
「ああ、それにまだまだ知らない魔法がある、指輪に知らされたよ」
さっきまで指輪のあった指を眺める。
「シンゴ王、就任おめでとうございます」 ホ
「所詮傀儡の王だよ、ガッセの下みたいな物だからな」 シ
「そんな事は・・・これをお返しします」
俺は指輪をシンゴに返した。
ぴしっ!!
「痛っ」シ
指輪から電撃がほとばしった。
「そう怒るなよ」シ
「怒ってますか?」ホ
「ああ、勝手に貸したからな」
指輪をつけながらシンゴは言う。
「その指輪、頂くことは出来ませんか?」
俺は尋ねてみた。
びしびしびしっ!
青白い電撃が指の上で発生する。
「・・・駄目だってさ」 シ
「もっともっと強くなりたい、仲間を、国を犠牲にしないでもいい力が欲しい」
俺はケンタに言った。
「・・・」
「それが出来てやっとガッセの宮廷魔術師だと思うんだ」
「なるほどな、、わかった、途中絶対ナラにも寄ってくれよ」
「ああ、必ず寄るよ」
ケンタと別れる。
城を出る。
復興中の城下町を眺めながら歩く。
本当に俺の選択は正しかったのだろうか。
国に残り、復興を手助けすべきだったのではないだろうか。
「俺は間違っていたんだろうか」
つい言葉を出してしまった。
「自分の思った道を進んだら良いじゃないか」
後ろから声が聞こえた。
「こな!」
そこには旅支度のこなが立っていた。
「あの世で言っただろ、まだまだすることは一杯ある、俺たちにしか出来ない事がってな」
「お前、傭兵団長に戻ったんじゃなかったのか?」
確かにしもる王から傭兵団長の辞令を受け取っていた。
「言っただろ、一緒だってよ」
「傭兵団長はどうしたんだよ!」
「しばらく保留にしてもらっといた」
二人で城下町を出る。
「なあ、もうここらへんで終わりっぽい書き方なんだけどよ」
こなが話しかけてきた。
「なんだ?」
「1とか2ならこの辺で女が居なかったか、何で今回いないんだ?」
だから小説の世界を無視するなって。
「そう言えばそうだな」
「まあいいか、どっか街行ってパーティー組もうぜ!」
「そうだな、プリーストも居るだろ」
「しばらく冒険者やって金稼ごうや」
「ああ、そうだな」
「なあ」
こなが神妙な顔つきで話しかけてきた。
「どうした?」
「俺たち、友達だよな」
どこかのゲームのバッドエンドみたいな台詞を吐くこなみるく。
こんなエンドは嫌だけど、まあ俺ららしいといえば俺ららしい。
「そうだな」
行く当てもなく旅をする。
こなと二人で。
すっと二人で。
・・・・・・・・・って
こんな終わり方勘弁してくれーーーーーーーー!!!
Fin