9回表

8回をなんとか抑えきったさくらはもうふらふらである。


「こら、打席行かんかい、役立たず」カ

好投しているピッチャーに何と言う物の言い方であろう。


「気合じゃ!気合入れて打って来い!早く!ハリアップ!!!」


「ギャー!」


ピッチャーの生命線の肩をバンバン叩いて行動を促すカイザー。


「根性ないな〜、しゃーない、代打ひじり!」


相撲部のひじりをコールしたカイザー。


「足遅そうやからな、ホームラン打て」

何という指令であろう。


「それ無茶だわ〜〜」


笑いながら打席に向かう綱。


もといひじり。



かきーーん!


センバツ優勝投手からあっさりとホームランを打ってしまったひじり。


石田はマウンドで崩れ落ちている。


「マグレっすよ〜〜」


「そうそう、マグレマグレ!俺のホームランのサインのおかげ、神の如き采配のおかげや!」

謙遜するひじりとは対照的な傲慢監督カイザー。


打順は一番に回って藤田。


「藤田―!死ぬ気で打てよー!打たな殺すぞ!」

お決まりの監督の激も飛び、打席に向かう藤田。


「今度こそ任せてくださいって、カキーンと打ってきますよ、ヒーローッすよヒーロー」




しゅるるるる



ごき!



再度崩れ落ちる藤田


デットボール ランナー一塁


「今度は反対のアバラをやったな」カ


「ええ、今度も確実に折れてますね」ね

代走は再度無く、一塁へ向かわされる藤田。

打席に向かうみたぼーを静止し代打を告げるカイザー


「代打、ROM」


剣道部のROMをチョイスした。


打席に入ったROMの構えがおかしい。


ピッチャーに向かって立っている。


しゅるるるる。



「めぇぇぇぇぇん!!」


ストラーイク!


バットはバッターボックスで上から下に振り下ろされた。

ホームベースの上をスイングする事すらなかった。


「ドアホ!やるんやったら胴じゃ!胴狙え!」シ


「了解でござる」


しゅるるるるる


「どぉぉぉぉ!」


かきーん!


シンゴの助言でスイングは大変に奇怪ではあったがヒットを放った。


ノーアウトランナー1.2塁


打席にはこなみるく


「ちら、ちらちら」



『もえグッズ詰め合わせ袋』

そう書いた紙袋をこなみるくにちらつかせるカイザー。


「打ったらやるわ」


「よっしゃーー!!!」


気合満点のこなみるく。


かきん!


「ほー、打ちよったか〜、馬鹿とオタクは乗せたら怖いなぁ」カ


「で、何が入ってるん?」シ


「マッチと手持ち花火、あとサービスで着火材と備長炭」カ


「鬼ギレするんやろーなー、帰ってきたら」シ


「大丈夫、去年の余りモノやから」カ


何が大丈夫か全くわからない。


ノーアウト満塁

バッターは四番のクライ


想像通り三振。


「死ね!」カ


「腹つっかえて体回ってないやないか!」シ


1アウト満塁

5番モモ
サードに打ち上げてアウト

2アウト満塁


いよいよヤバくなってきた。

打席にはさっき詰められまくった大石。


「こらー!気合入れて行けよ!」

いるかの応援とは名ばかりの脅迫が当たりに響く。






『打たないと殺される』


大石の頭の中はそのことで一杯だった。


ボールが投げられる


絶好調時にはボールが止まって見える。

そう過去の名選手達は言ってきた。


まさにその状況に大石は直面した。



絶好調時ではなく恐怖心からではあるが。



カキーーン!


わーーわーー!

大石ヒット

一点が返り2アウト3−2


「ねぇさん見てくれてましたか!」

一塁上から大石は応援席を見上げた。


「馬鹿野郎!アタシの見てるときに打て!」

その時いるかはタバコに火をつけていたのできっちり見逃していた。


2アウト満塁

バッターはねっしー。


ねっしーは先ほどいるかに教えてもらったことを胸に打席に臨んだ。


「食らい付く!」


かきーん!

いるかへの恐怖かはたまたその他か

ねっしーもヒットで続き、9回に同点となった。


「さあ(俺のボーナスの為に)続こうぜ!ホッホー!行け!」カ


「アホ、さっき交代出したやんけ」シ


打席に立っていたのはさんただった。


「なんでさんたさんなんすか!」ク


「誰もおらんかったんじゃ!」カ


しゅるるるる

バシ

ぶ〜〜〜ん


「アカン、ボールがミットに入ってから振っとる」シ


「定年間近ですからね」ホ


しゅるるるる


バシ

ぶ〜〜〜ん


「アウト!チェンジ!!」

あえなく三振


9回裏の守備



「で、お前は何してんねん」カ


「何がや?」シ


「お前、リリーフやろーが、はよ投げて来い」カ


「どうやって?」シ


「どうやってって、こう手で球持ってこうピュッとやな」カ


「一回表に交替した俺がどうやって投げるねんって聞いてるんやけど?」シ


「あの一番土盛ってある高いとこに行って投げたらええんやないか」カ


「アイスホッケーやドッヂボールや無いのにどーやってもう一回出るんじゃ!」シ


「意味わからんわ!」カ


「野球は一回交代したらもう出られへんのじゃ!!」シ


「そんなルール知らんかったわ!はよ言えボケ!」カ


「言うも何も基本中の基本やから知ってると思ったわ!」シ


「俺がやった野球は何回出てもよかったわ!」カ


「小学校の草野球と一緒にすんな!!」シ


仕方なくまたサイコロに頼るカイザー


「1やって、誰やったっけ?1番」カ


「藤田」

おそらくは両脇バラを骨折しているであろう藤田がピッチャーをコールされた。


藤田は頑張った。


痛みを堪えて投じた1球目




かきーーーん


センバツ優勝校の4番には止まって見えたのであろう。

1球で終わってしまった。


4−3であいさけ高校敗北。


「惜しかったなー」こ


「結局4番が機能しなかったからな〜」藤


「死んでも良いと思うんですよ、4番」モ


「打てないデブはただのブタですよね」ね


あいさけ高校の夏は一回戦で終わった。


その後森田高校は甲子園に行き、春夏連覇となる優勝。


何と石田はあの試合から甲子園まで1点しか取られなかった。


優勝インタビューで答える石田はこう言っていた。


「一番怖かった高校?予選の一回戦のあいさけ高ですね」と



しかしこうも言っていた。


「だってあいつらめちゃくちゃなんですもん!」








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