ぐっちとしもるは・・


「おい、これどっちやと思う?」ぐ

「最初は一番左の道行って、その次その横の道行って、その次真ん中の道行って、その次右から3番目の道行ってその次どこに入ったっけ?っていうか、カイザーさん迷うことないって言ってなかったっけ?」し

カイザーの言うこととは裏腹に、分かれ道は無数にあった。

「確かにモンスターはたいしたことないけど、連続バトルやからしんどいわ」ぐ

「俺も、もう腕があがらへんわ」し

「お前何もしてへんやないか!目ぇつむって剣ふりまわすから一匹も当たってへんやんけ!さらに剣が壁に刺さって動けなくなるわ、素手になったらさっさと逃げるわ、ホンマ大概にせえよ」ぐ

「そういうぐっちかって俺が(逃げて)いなくなったら一緒に逃げ出したやないか。せめて壁に突き刺さった俺の剣を抜いてくれたってええやないか」し

「あほゥ!どこの世界にシャーマンが一人でゴブリンの群れに丸腰でつっこむねん!せめて魔法が完成するまで敵を引きつけとくとかの気遣いぐらいせんかい!」ぐ

「何?俺を盾に使うんか?!相変わらずえげつないな〜」し

「なんでやねん、戦士系のヤツが引き付けておいて魔法系のヤツが後ろからドカ〜ンは戦闘の基本中の基本やろーが!」ぐ

「え?そうなん?あ〜、無理無理。そんなんしたら俺死んでしまうし」し

「それをどうにか頑張らんかい!俺ら全然勝利してへんから経験値も0やぞ。逃げ足は早なったけど・・」ぐ

ぐっちとしもるの素早さは着実に上がっている(気がしている)。

「そうやな〜、次あたり俺の本気を見せなあかんな、しゃーないな、ぐっちの成長のためにも頑張るわ」し

「はいはい、しもるさんあっての、わたくしめでございますよ、どうか魔法の完成まで踏みとどまってくださいませ。」ぐ

ぐっちはしもるの扱い方を変えてみた。しもるはこの手のおだてに弱いと以前カイザーが言っていたのを思い出したからだ。

「ガッハッハ、騎士様あっての魔法使いやからの〜。俺あってのぐっちって訳や、まあ、大船に乗った気で任せとけや、ぐっち君」し

「はは〜、よろしくお願いいたします。しもる様。」ぐ

ぐっちは恭しく頭を下げた。

ぐっちが頭を上げるとしもるの姿はどこにも無かった。

「あれ?いない・・・」ぐ

ぐっちは、後ろから異様な気配が漂ってきていたので振り返ると、

「ゴフッ、グフゥゥ〜」

嫌な声と共に後ろから先程のゴブリンの集団が迫ってきていた。

「あンのヤロウゥゥ、言ってるそばから逃げ出しやがったな!!」ぐ

そう、しもるは恥も外聞もなく自分だけ逃走していたのだった。

「しもるのヤツ殺してやる、きっと殺してやるぞぉ!その前に、俺も逃げな〜〜」ぐ

しかし、敵はすぐそこまで迫っていた。

「ひ〜ご無体な〜、風の精霊よ、我に追い風を、敵に向かい風を巻き起こせ!」ぐ

ぐっちは思いつくまま、(必死の思いで)適当に詠唱をはじめた。

ゴウゥゥ!!

ぐっちと敵の間に突風が巻き起こり、両者とも弾き飛ばされた。

「グガァアァァ・・」ゴブ集団

ゴブリンの集団は、天井に壁にと次々と激突し絶命していく。

「ごふッ」ぐ

ぐっちは長い通路のおかげで壁への激突は免れたが、地面に倒れた時の打ち所が悪く気絶した。





ぐっちのレベルが1上がった



しかし幸運度は上がらなかった。



ぐっちとゴブリンの戦闘(?)が終わったのを分かれ道の陰で見ていたしもるは、ゴブリンの集団が一匹も動かなくなったのを確認してから戻ってきた。

「あれ?ぐっちってこんなに魔法力強かったっけ?まぁええわ、また気絶してるし、それよりゴブちゃんは全員死んだんかな?」し

しもるは気絶しているぐっちには全く見向きもしないで、恐る恐るゴブリンの集団に近寄り、剣で突付いてみた。

「グガッ?」ゴブ

絶命を免れたゴブリンがフラフラと起き上がってきた。頭を強打したらしく、千鳥足な状態である。

前後もわからない状態のようだ。



「ひ〜、まだ生きてるのがおるやんか〜。待てよ?、あれくらいなら倒せるかも・・。それ〜〜」し

ふらついているゴブリンの後ろからこっそり忍び寄り、一閃、ゴブリンを倒した。




後ろからこっそり攻撃という全く騎士らしからぬ行動である



「俺も本気出したらゴブリンくらいこんなもんやで。でもこの調子やと、まだ生きてるのがおるかも?とりあえず全部トドメを刺しとくか」し

死にかけのゴブリンを一匹倒した事に自信をもったしもるはサクサクと動かないゴブリンにとどめをさしていった。





しもるのレベルが3上がった。