「違うねん、後ろからじゃなかったら俺の炎の剣が唸りを上げててん」し


いつもの言い訳も滞り(とどこおり)なく終わり、先ほどの辺りに向かう。


先ほどのように大量に出ることもなく、小競り合い程度で頂上に到着。


「頂上に来てしもたで」し


「なぁ、頂上じゃないんやろ」ぐ


「ああ、違うって言ってたな」シ


再度山を降りだす。

辺りを探すもミノタウロスを感じる事はない。


「おい、やっぱりミノタウロスの気配全くしないぞ」シ


「ホンマやな、日も落ちてきたし一回山降りるか?」カ


「いや、夜に出てくるかもしれんしな、今日はここに泊まるか」シ

先ほどぐっちがイフリート召還してできた焼け野原に行く。


「焦げ臭いけどここが不意打ちされずに済むだろ」

シンゴはそういってその焼け野原の中心付近にテントを張り、焚き火を起こした。


「さすがに手際ええな〜」ぐ


「当たり前よ、レンジャーはテント張るのうまいんじゃ」シ


「アホか!俺魚釣ってきたっちゅ−ねん!」カ


「お前らは?」シ


「え?」し


「お前らは何すんねん」シ


「見とく」し


「ドアホ!何にも出来んのやったら完全に暗なる前にいのししでも捕まえて来い!」カ


「無理やって!」ぐ


「役立たんなー、お前ら夜の見張り長めにやれよ」カ

シンゴの持ってきた保存食やレンジャー技能を駆使して取ってきた野草や小動物、カイザーの釣ってきた魚などで腹を満たす。


「何か楽しいな〜」し


「ホンマや、酒でもあったら最高やで」シ


「酒やったらあるぞ」


ぐっちは例の非道な作戦の時に使用するような強い酒を出してきた。


「アルコールやったら何でもええわ!騒ぐぞ!!」シ


「よっしゃ!俺歌うぞ!!」カ


「やれやれ〜〜」ぐ


野営なのかキャンプなのか。

心底楽しんでる馬鹿の姿がそこにはあった。



夜も更け、寝る時間になった。

見張りの順番は


「俺一回寝たら起きたくない」カ

「どっちかゆーたら早起きの方が楽」シ

と言う、キャンプに役立った者の優先で、

カイザー

ぐっち

しもる

シンゴ
の順となった。



「おい、しもる」


「おい、しもるって」


「何〜」


「見張り、お前の番」


「もう〜?早すぎちゃうん?」


「上等に普通じゃ、さっさと行け」

ぐっちと交代して見張り番のしもる。


20分ほどした時に何かがこちらに近づいてくる。

斧を持ったホブゴブリンだ。

メシの匂いでもかぎつけたのであろう。


どどどどどど



「起きてーー!来たーーー!!殺されるーーーー!!」

テントに駆け込み助けを呼ぶしもる。


「何が来たんじゃあ!」


防具も着込まず武器だけを手にして駆け出す。


「おいこのアホぼん、敵ってあのホブゴブリン一匹か?」シ


「うん」
こくり


「ホブゴブリンぐらいで叫んで起こすな!あのくらい一人で何とかしさらせ!!」カ


さく!
ばたん

しもるに叫びながらダガーを投げてホブゴブリンを倒す。


「ワシらの貴重な睡眠時間奪いやがって!死ね!」シ


しもるをボコボコにして再度テントに戻る三人。


ぱちぱちぱち



「そうやった、俺様は一人で出来る子やった」



焚き火の前で一人ぶつぶつつぶやくしもる。

がさがさ


「また来た!」

ぐるるるる

よく見るとウルフが一匹近づいてきている。


「なんや、野良犬か、かかってこーい!しもる様が成敗してくれるわー!」

世の中知らずのお坊ちゃまには犬に見えたようだ。


がぶり


ギャーーーーーーー!!


山々に響き渡るしもるの絶叫。


「何があったんじゃ!!」

三人がテントから出てみると、ウルフにケツを咬まれているしもるがいた。


「炎の矢となりウルフを撃て!」


ぐっちのファイアーボルトがウルフに炸裂し、ウルフは逃げていった。


「鼻思いっきり蹴ったら逃げていくやろ!」シ


「どうやったらケツ咬まれるねん!」カ


「剣振り下ろしたらおけつ咬まれてん」し


「見張りも出来んのか!」


「役立たずが」


「死ね!」

等と冷たい言葉を飛ばしてテントに戻る3人。


「くそ、あんなに言わんでもええやんけ」

再度焚き火の元で座り込んでつぶやくしもる。

ぱちぱちぱち





「俺は出来る子や、やったら出来る子や」

暗示をかけるようにつぶやくしもる。


時は進み、もうすぐ見張り交代の頃


がさがさ!

ゴブリンが一匹迷い込んできた。

どうやらぐっちが焼いた所に巣でもあったのだろう。

ゴブリンはしもるを見ていきり立っている。

「くそー!今度こそやったるー!」

しもるはゴブリンに向かって行った。


ギン!
ガシ
どらぁぁぁ!
ギン!
どご!
どご!
どご!


「しもるー、お前見張り交代の時間忘れてないか〜」


シンゴが目覚めてテントから出てきた。


そこにはボコボコにされている最中のしもるがいた。


「何してんねん」


「何って!いて!!今ゴブリンと戦ってるんやんか!見たらわかるやろ!」


「いや、見てさっぱりわからんから聞いてんけどな、へー戦ってたんか」


どう見ても殺される寸前に見える。
マウントポジションを取られてフルボッコにされている。

歯を磨きながらシンゴは落ちていたしもるの炎の剣を拾い一閃。

ゴブリンはあっさり倒れた。


「剣無くて戦えるって素晴らしいナイトやな」


「当たり前やで、真のナイトは武器無しでも戦いに挑むもんやねん」


「ああそう、それは失礼」


しもると交代でシンゴが見張りに。

「この時間になったら敵も出てこんやろ」

時刻は朝5時

少し夜も白んできている時刻だ。
夜行性の動物もぼちぼち行動をやめ、巣に戻る時間だ。