わおーーーん
むくり
「御気楽でエエよな、こいつら」カ
「全く、でもお前も気づいてたら合図したれよ」シ
「一応したわい、あいつら俺の合図見ずにがっついてたからな」カ
「まぁ派手に食うなとも言えんしな」シ
「どうせ眠り薬や、寝てもらっといたほうが事は進む」カ
「くっくっく、確かにそうかもな」
二人は闇の技能、忍び足を使い部屋を出た。
「あいつら寝てるだけでもせめて時間稼ぎにはなるやろ」カ
「で、ぐっちの言う焼肉の匂いやな」シ
「ああ、牛の焼けた匂いは若干するわな」カ
庭にある倉庫に行く
「ビンゴや」カ
ぐっちの魔法によって焼け、からがら逃げてきたと思われるミノタウロスの死体が置いてあった。
「おい、あれ見ろ」
シンゴが指差した方には牛舎があり、牛が数匹繋がれていた。
牧場長の家に忍び込む。
地下へ向かう階段から牧場長の声と人の叫び声が聞こえる。
「地下か、行くぞ」シ
階段を降りる。
「おいおい、悪い霊がうようよ居そうやぞ」シ
「死んでるのは牛だけじゃないってか」カ
扉を開ける。
地獄絵図が待っていた。
ばらばらになった死体や牛の体が散乱している。
人にいたっては男も女も子供も関係なく。
「牧場長さんよぅ、ここは馬専門の牧場と違ったか?」シ
「そうですよ」
牧場長はこちらを見ずに答える。
「上の牛とこの魔方陣、どう答える気だ?」シ
「生産しているんですよ、色々とね」
「人をさらって牛と一緒にしてミノタウロス生産完成〜ってか」カ
「まだまだ完成ではありませんよ、弱っちい女子供ではなかなかうまくは・・・」
「ほう」
シンゴの手にはメイスが握りこまれている。
「と言うことはその女子供でも試したと言うわけだな、貴様」シ
「あといろんな冒険者も使いましたが、まだまだ完成とまでは」
「なるほどな、帰ってこなかったパーティはそれに使われたっちゅー事やな」カ
「あなた方なら良いミノタウロスを生産することが出来そうですよ」
ばたん
部屋に二体のミノタウロスが入ってきた。
肩には各々ぐっちとしもるが持ち上げられている。
「お仲間も、いいミノタウロスになりそうですねぇ」
「ほう、役立たずだがな」カ
「御仲間の命、助けて欲しくば動くな!」
牧場長がこちらを見る。
「惜しいと思うか?」シ
「は?」
「殺せや」カ
「何を言って」
「さくっと殺せゆーとんねん、誰が殺されようと俺は痛くも痒くもない」カ
「き、貴様ら!」
「あの二人斬って俺が血ぃ吹くか?吹かんわなぁ」シ
「やれ!こいつら二人を殺せ!」
階段をまた2体のミノタウロスが降りて来た。
「あの馬鹿と未完成とやらのミノタウロス、どっち行きたい?」
「俺は暗殺者やぞ、人間殺す方が得意じゃ」
「なるほどな」
「特にあんな腐れ外道は殺すのに何の躊躇いも無いわい」
「じゃあ俺ミノタウロス行くわ、ダガー一本くれ」
「ほらよ」
その声を最後にカイザーは気配を消し、地下室に唯一あった明かりのランタンを破壊し、闇へと消えた。
4体のミノタウロスを相手にするシンゴ。
「これからメイス辞めよう、厳しいわ」
ミノタウロスとガンガン殴り合っている。
「あと一人は」
「ここじゃ」
牧場長の背後に回りこんだカイザー
心臓を一突きだった。
「死ね、外道が」
ダガーを引き抜く。
血があふれ出る。
「私とどう違いがあると言うのだ、暗殺者よ」
「・・・俺は最低でも、子供は殺さん」
牧場長は倒れた。
「俺は少なくとも人の死を辱めることもしない」
カイザーはその場所を飛び退き、次々とミノタウロスにダガーを突き立てていった。
「暗闇では勝てる気せんな〜」
シンゴがカイザーに言う。
「・・・ミノタウロスに祈るわ」
カイザーの信ずる神、チャ・ザに祈りを捧げるカイザー
「皆、安らかに眠れるよう、我が神の安らぎを」
見つめているシンゴ
「人だけでなく、この罪人に付き合わされた牛達にもチャ・ザの安らぎを」
真っ暗だった地下室は一瞬だけ明るくなった。
「帰るか」
カイザーは地下室を後にした。
「おいおい、この二人背負うの俺だけかよ」
シンゴは文句を言いながら二人を背負い(引きずり)、カイザーの居るであろう場所に向かう。
アイツ、案外ええ奴やからな
シンゴの予想通り、カイザーは庭に行き、焼け焦げたミノタウロスに祈りを捧げていた。
少し長い祈りだった。
空からの白い光に導かれ、小さい光が空へと浮かび上がっていった。
そんな夜だった。
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