「よいか、何としてでもこの子達を無事に・・・」
ギャギャー
黒のローブを着た、まだ若い夫婦とも思える人物がドラゴンに語りかける。
「そして、お前も無事にな、エンシェント」
エンシェントと呼ばれたまだ小さなドラゴンは寂しそうに二人を見つめる。
「我等は・・・この魔法王国の崩壊の責任を取らねばならぬ」
ぎゅううう
魔法という意味を持つ名を持った小さなドラゴンは魔法使いに語りかける。
「この崩壊を・・・最小限に食い止めねばならぬ」
ぎゃーーぎゃーーー
「駄目だと申しておろう、ぬしには、この子達を」
ぎゅうううう
籠には男の子と女の子が入っている。
「では、さらばだ、この子達を達者にしてやってくれ、そうすれば・・・お前との契約は切れる、
その後は自由に暮らせよ、エンシェント」
ぎゅうう、ぎゅううう
「思えば懐かしいもんだ、お前が傷付いて山に倒れていたのが昨日のようだ」
ぎゅうううう。
「町に連れて行くため、仕方なしに主従の契約をしたが・・・私たちはお前が本当の我が子の様に思っていたんだよ」
ぎゅうううううう!
「そうか、お前も親のように思っていてくれてたか、嬉しいぞ」
くううううう。
「・・・もう時間切れのようだ」
ぎゅうぎゅううぎゅううう!
「もう危ない、行くんだエンシェント! その子達を、頼んだぞ!そして達者で暮らせ、エンシェント!」
悲しそうに後ろを向き、飛び立つエンシェント。
悲しそうな鳴き声、いや泣き声を残して。
エンシェントは持てる力の限りの咆哮を上げた。