本当に安い指輪だ、けーこ。
ダイヤが付いているって言ったって、気持ち程度以下のもんだ。
でもな、
その代わりと言っちゃあなんだけど
俺の思いを…。
ありったけの俺の気持ちをこめて。
これを手渡させてもらうぜ。
夜中に呼び出す。
俺たちが初めてキスした思い出の場所に行く。
小雨混じる中、車の外に出る。
「あのな、けーこ」
「なに?」
「マジメな話が…あるんだよ」
「うん」
大きく息を吸う。
声が震える。
手も震える。
情けない話だが足も震える。
しかし、言わなきゃ進まない。
濡れっ放しも御免だ。
「けーこは俺を選んでくれた」
「うん」
「俺もけーこに答えを出す」
「…」
「俺はけーこを愛してる」
「…」
「もちろん琴乃も愛してる」
「…」
「俺にけーこを愛せる資格をくれ」
「…」
「けーこを…永遠に愛させてくれ」
指輪をコートから取り出す。
「阪井 圭衣子になってくれ」
「…」
呆然とするけーこ。
途中から耳に入ってねえな、こりゃ。
もう一度プロポーズの言葉言い直すほど情けないことは無い。
………
まあいいや。
コレがきっと俺ら流だ。
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