酔いも程よく回ってきた頃。
誰かが話し掛けてきた。

「永遠の詩っていい話っすよねー」

「そうかい、ま、あれは俺の話じゃない、美久の話だから」

実際そう思っている。
そこから雰囲気が変わった。
永遠の詩談義・・・いや、美久の話になった。
美久も参加させてもらったみたいで嬉しかった。

・・・ココロの中が温かい。
俺の心が・・・遠い地で。
美久を見たことのない人々の心の中で・・・
アイツが・・・生きている。
皆の中で、生きている。

「俺、永遠の詩がなかったら、あいさけに来てなかったです」

正直な話、永遠の詩の話は、話題の中心になると思っていた。
しかし、聞かれる質問は
「現実の話なのか?」と言うことを前提にして聞かれると思っていた。

そりゃそうだ。
まずこの話を信じるには、俺の妙な力のことを信じてもらわなきゃいけない。
そして、今では記憶があやふやになった、病院の場所、美久の家、
俺達のマンションの場所・・・すべてを忘れかけた事を信じてもらわなきゃいけない。

どんな部屋だったかも覚えている。
国道一号線を走ってあの交差点で曲がって・・・
まで覚えている。

しかし・・・
肝心の記憶がないのだ。

俺自身思い出したいのだ。
しかし・・・人間というのは、本当に忘れなきゃいけないことは、
忘れてしまえるものだと、過去のつらさを消す為の人間の本能なのかもしれないと
どこかの専門家が言っていた。
そんなことは気にせず、関東の常連達は、すべてをあった話としてくれ、
そして、純粋に感動してくれた。

久々に感動した。