しかし高い建物だな。
これだけ部屋があっていっぱい客じゃない、患者が入ってんだろうな。
儲かってんだろーなー。
医者にでもなるかな。

・・・この季節に学校呼び出されてる程度じゃ無理だわな。

しかし、病人も大変だーねー。
と病院を見上げる。

ふと3階を見たあたりで一人の女の子と顔があった。
どこかで見た気がする。
向こうも気付いたらしく、頭をぺこりと下げる。

あ、ああ
俺も釣られて頭を下げる。
なんだかかわいい子だな。

・・・

見つめ合ってるみたいで、なんだか気まずくなって顔を戻した時、信号が緑色に変わっていた。
渡りに船とばかりにペダルをこぎ、進行方向を家へと向けた。

・・・どこかで見た気がするんだけど、誰だったか。
まあいい、別に・・・女なんざ。

しばらくして家に付き、制服から私服に着替え、昼飯を食ってリザーブユアハートに跨る。

雄一郎と駅で落ち合い、阪急電車に乗り込む。
乗換えをした後、仁川駅で降りる。

「次何レースだ?」

「7Rや、ちょっとぎりぎりかもな」

「8Rからいくか」

「そやな」

人ごみにまぎれて競馬場に入っていく。
一応、JRAは、学生生徒未成年は競馬しちゃいけない事にしてるからな。

今日は小倉開催だから、モニター観戦だ。
暑いので馬券売り場の前のTVモニターでパドックを見る。

「そういや、篤は?」

「ああ、水曜に園田で記録的大敗したとかで今回参戦出来ずやってさ」

「じゃあ、例のバイトか?」

「おお、島流しや」

例のバイトとは、俺たちの家の近くのお好み焼き屋さんだ。
給料を日払いでくれるのでとても助かる。
さらに学校サイドもここのバイトなら文句を言わないのだ。

ただ、おばちゃんはちゃきちゃきの浪速っ娘で、なかなか手厳しい。
客は想像を絶するくらい多い。
さらに給料も安い。

と、三拍子揃ったバイト先だ。
俺たちの中では島流しと呼ばれている。