信号待ちの時に、さっき行った部屋のあたりを見てみる。
3階3階っと。

・・・


やっぱりこの間の女の子と目が合った辺りだ。
って言っても、一回見ただけだから顔なんか覚えてねえ。

とか考えていたら、同じシルエットが窓から見える。

きょろきょろと探した後、確かに俺を見つめ、にこりと微笑んで・・・

笑顔で小さく手を振られた。

俺は一瞬呆然としたが、体が勝手に逃げる

・・・はずなんだが、なぜか今日は同じように小さく手を振ってしまった。

ふと我に返り、恥ずかしさが異常にこみ上げてきて逃げるように帰ってしまった。

翌日は本当に渡すだけで帰ってきたし、帰りに自転車に乗るときも3階の窓は見ずに帰った。

翌日も、その次の日も・・・


そしてその週の土曜日。

「お前、海南ちゃんに届け物してるんやって?」
同好会で予想をしてる時に、遅れてきた雄一郎が開口一番聞いてきた。

「なんやと!」

「うそ!!」
潤也も篤も驚いている。

「あ、ああ、持って行かされてる、まったく面倒な話だ」

「なんやてーーー!!!」

「コイツ面倒くさいって言いやがった!」

「ブッ殺す!」
何をいきり立ってるんだこいつら。

「お前なあ、海南ちゃんかわいかったろ?」
雄一郎が聞いてくる。

「・・・んー、まあそれなりには」

「SO・RE・NA・RI!!」
雄一郎は外人のように驚いてる(つもりらしい)。

「お前、海南の噂知らんのか?」
篤が信じられないとばかりに聞いてきた。

「噂どころか、顔も、存在自体もこの間初めて知った」

「なんてこった」

「わかった俺が一から教えてやる」
そう言って潤也が話し始めた。