なんでもその海南という女、やたらもてるらしい。

中学時代に告られた数が100に近いとか。

男が苦手で全部断ってたとか。

高校の入試の成績が一番だとか。

でも、1年の2学期からほとんど入院してて、登校が1週間に一回、1ヶ月に一回、やがてほぼこなくなったとか。

その他色々。


「と、いう子だ」

「ほう、大変なんだな」

「知らずに持って行ってたとは」

「畜生、山本め、こんな希少価値も分からない馬鹿に持っていかせるなんて」

「俺にやらせろっての!」

「俺なんかその役が回ってこないのは石田のせいだと考えて、毎晩石田を呪ってたのに!
物騒だぞ、雄一郎。

「で、なんでお前が行く事になったんだ?」

「まあ、色々な」

「全くうらやましいこった」

「何言ってんだ、ただ面倒なだけだ、病院ややこしいし」


そんなこんなで土曜も過ぎていった。


明日は阪神競馬場パドック前、9時集合で決定。

実力テスト1日前に良いのかと考えるヤツは誰もいない。

俺は病院に渡しに行かなければいけないので、先に帰る事にした。

いつもの様に駐輪場に自転車を停め、3階に上がる。

さすがにもう慣れたモンで迷うことはない。