朝
札幌に向かう。
途中中山峠で休憩するから二時間半くらいで札幌に到着。
「おい、時計台ってこれか!」
なぜか俺たちのクラスに混じっている雄一郎が絶叫する。
「まさか、時計台のミニチュアだろ」
「本物です」
ガイドさんは申し訳なさそうに俺たちに教えてくれた。
「何じゃーちっさいのー、金返せ!」
誰もお前から金は取っていない。
「おい天斗、あの塔は東京タワーのお古って本当か?」
美幸がすっとぼけたことを聞いてきた。
こいつは昔からこんな所がある。
いつもはしっかりしているくせに、こんな嘘情報にはからっきし弱いのだ。
昔はトカゲに懐中電灯当てたまくったらゴジラになるとかも信じていやがった。
「ああ、たしか札幌オリンピックのときに東京都から寄進されたはずだ」
「昔の東京タワーは小さかったんだな」
「そりゃあビルとかも少なかったからそんなに高くしなくても良かったんだろ」
「どうやって持ってきたんだろ?」
「東京からフェリー出てるからな、バラして持ってきたんだろ」
信憑性を持たせるためにいろいろ話を作る。
昔からこう言う嘘をついてやる。
美幸が気づいたのは小樽の夜景を見ていた時だった。
「川端さん、一緒に写真撮ってくだ」
どん!
「ああっ」
一緒に写真をとってくれという男子を三人ほど突き飛ばして俺の方に突進してくる美幸。
「死ね、天斗!!」
「今頃気づいたか、馬鹿が」
優雅な風景をバックに暴れ狂う二人。