日は進んで終業式。


競馬倶楽部には再度皆が集まった。


「俺、おじが北海道で牧場やってるんで手伝いに行ってきます」


ハジメは夏休みは北海道だそうだ。


「俺らは夏期講習」

俺と潤也は大学受験の講習。


「俺は海の家のバイトや」

雄一郎はおじさんのところでバイト。


「俺は一度小倉競馬に行きたかったから行って来るわ」

篤は九州に一人旅だそうだ。


「夏の部活は8月最後の土日、阪神競馬場でやるから」

雄一郎の申し送りを終えて解散となった。




いつものように病院へ。


「おーっす」


「?」


海南が服を着て立っている。

いつもはパジャマなのに。


「あれ、海南私服って珍しいな」


「あ、うん」


「ってかえらく元気そうだな、病気治ったのか?」


「そうじゃないんだけど」

海南は笑っている。


「・・・海南、そんなに声高かったっけか?」


「あ〜あ、彼氏にはバレちゃうんだねー」


「かれし?」



がらがらがら


「あ、星野君」

ドアのむこうから海南がもう一人増えた。


「は?あら??海南2人???」


「何、夕菜ってあたしのこと言ってなかったの?」


「言ってなかったかも」


「相変わらず抜けてるわねー」


「そうかな」

海南が二人でしゃべってる。


「海南、説明してくれ」

「あのね、これは」
「あのね、これは」

「サラウンドやめてくれ」


「だって、どっちも海南なんだもん」

多分俺の知らないほうの海南が話しかけてくる。


「じゃあ俺の知ってるほうの海南、説明してくれ」


「あ、あのね、私の双子の姉なの」


「マジ?」


「マジ」

知らない海南が言う。


「同じ顔だぞ」


「似てるってよく言われるの」


「じゃあ挨拶しとこう、俺、海南の友達の」


「星野 天斗君でしょ」


「ああ、よろしく」


「結構いい男じゃない、夕菜」


「あ、あのその」


「私は姉の海南 朝菜」


「朝と夜か」


「朝な夕なに、ね」

なんか拝まなきゃいけないみたいだな。


「じゃ夕菜、邪魔しちゃいけないから帰るね、ちゃんと聴いて修正点教えてよね」


「はいはい」

そう言って、もう一人の海南は帰っていった。



「ごめんなさい」


「何が?」


「姉がいる事言ってなくて」


「全然かまわないだろ、でもびっくりした」


「ふふふ」


「同じ顔なんだもんな〜」



翌日


海南がマイクを持ってMDに歌を録音していた。


「わっ!」


「なに?趣味カラオケ??」


「そうじゃないの! あのこれ」


「まあいいじゃん、何でも」


「いつから聴いてたの?」


「ノックしても気づいてなく歌ってたから、聴こうと思って入っちゃったわ」


「はずかしい〜」


「歌、うまいのな、海南」


「朝菜はもっとうまいよ」


「へー」


「じゃあ明日7時に宝塚駅で」


「うん」

旅行前日の病院からの帰り、CDショップでどこかで聞いたことのある歌が聞こえてくる。


前に海南が歌ってたような?

まさかな。

今日リリースされたA-shAの新曲だった。