・・・大体この話をしたらみんな哀れむからな、嫌いなんだよなー。
可哀想だとか、大変だねとか。


知りもしないで言われるもんな。


「でも、良かったね」



・・・よかった?


「何が」

つい反応してしまった。
今までそんな事、言われた事が無いぞ。

事故して良かったなんて言われる事なんてありえないだろう。



「生きてて、良かったよね」


・・・イキテテ ヨカッタ


心に変な感じが広がる。


海南の目は涙目になっている。


「死んでたら、こうやって会ってないんだもんね」


「・・・」


「生きててくれたから、私も今こうやって助けられてるんだよね」


「・・・俺は海南を助けたことなんて無いぞ」


ヨカッタノカ?


ナニガ?


「でも、実際親も俺を治すために仕事忙しくなったり、家に帰れなくなったりしてるんだぞ」

そうだ、今だって俺のせいで両親はお互いに単身赴任をして・・・。

俺が事故なんかしたから二人に迷惑かけてばかりで・・・。


「でも死んでたら、自分の子供が死んでたら、一番大変だった、悲しみだけが残ったんだと思うよ」


親の人生を、家族を壊したのは俺なのに・・・。




・・・・・・


「俺は・・・生きてて良かったのか?」

海南に尋ねてしまった。

何も知らない海南に。


「当たり前だよ、死んでたら親御さんだって悲しくて生きる希望もなくなってたかもだよ」


「そうかな」


「それに」


「それに?」


「私だって、いま星野君が居なかったら、こうやって一緒に海とか星を見れなかったし、修学旅行だって行ってないし、生きてる事がこんなに楽しいなんて事知らなかったよ」


「星野君が居てくれたから、私は今こうやって頑張れるんだよ」


「俺は、本当に何もしていない」


「修学旅行で星野君が言ってくれたんだよ、『死ぬなんて言うな』って、『頑張れってずっと言ってやるから』って」


「・・・」


「すごく嬉しかった、そんな事本気で言ってくれる人、いなかったから」


「・・・」


「私は星野君が生きててくれて、本当に良かったと思うよ」





「・・・」


「え?」


「ありがとな、海南」


「何で?」


「俺、皆に大変だろうとかはいっぱい言われたけど、生きてて良かったって言われたのは、生きててくれてとか言われたのは初めてだ」


「そーなの?」


「ああ、トラウマだったんだよ、生きてて良かったのか、事故以来、金がかかるからって仕事頑張ったら、いまだに両親は仕事忙しくて両方とも単身赴任で居ないし、大変大変って言われるたびに、変に疎外感感じちまって」


「でも、本当に大変だったとは思うよ」


「まぁ、そりゃあ」


「だから星野君は女の子にも優しくなろう」


「何がだからなんだかわからんけど、頑張ってみるわ」