どん
「わ!」
足に衝撃が走る。
向こうを見ると女の子が転がっている。
「いたたたたた」
「ごめんごめん、大丈夫か」
その女の子を抱き上げ、立ち上がらせる。
「でも走っちゃ駄目だぞ」
パジャマを着ているところを見ると入院患者なんだろう。
「逃げてたの」
なんだか話がしたそうだったからしゃがんでやる。
「何から?」
「先生から」
「駄目じゃないか」
つい笑ってしまった。
「あの人、お兄ちゃんのかのじょ?」
女の子は海南を指差している。
「ん?ああ、俺のマブダチだな」
「まぶだち?」
「ああ、大事な友達だ」
「かのじょはいるの?」
「俺か?いないぞ」
「じゃあ、らんがなってあげる!」
「おいおい、俺、お前の名前も知らないのにか?」
「すずき らん! 今度小学校に行くんだよ」
「そうか、らんか」
「うん!」
「でもらん、早く治さないと学校行けないんじゃないのか」
「そうなの」
らんはいきなりテンションが下がってうなだれた。
「幼稚園も行かなきゃ行けないからな、早く治したいよな」
「うんー」
らんはまだテンションが下がっている。
「よし」
らんを抱き、立ち上がった。
「じゃあ、走って逃げちゃ駄目だよな、先生の所に行って治してもらっといで」
「くすりにがいもん」
「がまんがまん」
「てんてき、いたいもん」
「学校行きたかったら、ちょっとだけがまんだ」
「うん・・・」
「今度俺が見舞いに行くから、頑張りな」
「うん!」
満面の笑顔で俺を見る。
「頑張れ」
頭をなでてやる。
らんは嬉しそうだ。
「お兄ちゃん名前は?」
「ほしの てんと」
「てんと、ありがと」
らんは俺のほっぺたにキスをした。
「おいおい」
「じゃあ、らん治してもらってくる!!!」
らんは俺から飛び降り、むこうに走って行く。
「てんと、らんの部屋は515だからね!」
らんは見えなくなった。