「星、あまり見えないね」
「ああ」
「綺麗だったよね、おじさんのところで見た星」
「そうだな」
そこからしばらく無言。
「あのね」
意を決したのか海南が口を開いた。
「ああ」
「本当はもっと早くに言おうと思ってたんだけどね」
「うん」
「こんな話、どのタイミングで言ったら良いのかわからなかったの」
「うん」
「結論から言うね」
「ああ」
「私、もうすぐ死ぬかもしれないの」
は?
「え?」
そんな言葉しか出てこない。
ひょっとしたらそうかもと思いながら問いただしたのに。
他に言葉が出なかった。
「肺とか心臓がね、止まるかもしれないの」
「肺が・・・」
「肺リンパ脈管筋腫症、って言うんだって、本当はもう少し年齢が上の人がかかるらしいんだけどね。」
「で、その病気ってどんな・・・」
「最終的には呼吸ができなくなってしまうんだって」
「治す方法は・・・ないのか?」
「肺移植だけなんだって、でもドナーがいない事にはね」
「いない事には・・・」
「待ってる間に私がだめになっちゃうほうが早そうなんだよ」
「そんな、じゃあ俺の肺・・・」
「生態肺移植は家族の間でしかだめだから」
「家族は?」
「私ね、両親とも事故で亡くしてるんだ、双子の朝菜しか家族はいないの」
「何とかならないのかよ」
搾り出すように声を出した。
「ならなそうなんだ」
目の焦点が合わなくなってきた。
海南がぼんやりとしか見えない。