いよいよ放送開始。

金はかかっていないが話題性は十分。

職員室での撮影も、わざとらしい声かけも効果はあったはずだ。

問題はここから。
映画を見たやつがどういう反応を示すか。

「天斗、どないやろ?」

雄一郎も同じことが気になったらしく声をかけてくる。

「わからん、俺達は素人だからな」

「ホンマやで」

「頼りないけど篤を信じるしかないだろ」

「そやな」

笑わせどころできっちり客も沸いた。

「ここからやな」

「ああ」

最後の部分だ。

海南が病で帰らぬ人となる。

そこで流れる歌が海南の曲のサビの部分だ。

見ている女子が泣いている。

それを見たときやっと篤の緊張が解けた。

「・・・やっとやな」
「ああ」
本馬場に向かう薄暗い地下馬道
「園田の馬が日本ダービーに出れるとはなぁ」
「これに勝てばな」
「なんやお前、俺の馬がこんな所で負けるゆーんか!」
「いや負けるとは思ってないけどな」
「なんや」
「緊張はするぞ」
「緊張は勝利騎手インタビューでしろや」
「しかしお前とここまで来れるとはな」
「元ダメサラリーマンがなぁ」
「それを言うなよ」
「海南ちゃんに感謝せーよ」
「・・・そうだな」
「よっしゃ、頼むで」
「ああ」

光で真っ白な競馬場に出る。

そこで話が終わる。
エンディングが流れる。

『その馬が勝ったかどうかは皆に決めてもらうんだよ』

篤はそう言っていた。

部屋が明るくなる。

女子の大半が泣いていた。

「ありがとうございました〜」

視聴者の全員がチケットを入れていった。

「マジかよ!」
チケットボックスに立っていた潤也は驚きの声を上げた。
上映会は大成功に終わった。


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