第一章  夏真っ盛り



「全くどうなってんだ今年は!!」

俺は毎年のごとく日本海の海の家のバイトに来ている。

俺のおじが海の家を経営しているのだ。

宿泊先もおじの家だしメシも3食出るから金も掛からず助かる。

ちなみにおじは、冬はハチ北スキー場で食堂をやっている。


8/15になったらくらげが出るので泳げないが、太平洋側より水がきれいなので、なかなか観光客も多い。

って言っても、めちゃめちゃ繁盛するわけでもなく、毎年それほど苦労せず金も稼げるのだ。

どっちかって行ったらみんな日本海側に行くより白浜とかの太平洋側に行くからな。
なかなかいいバイトなのだ。



・・・・・・例年は。

それは今年はどうだ。
異常とも言えるくらい人が多い。

この猛暑に加え、なんでも南紀付近にサメが出たとか言うことで、日本海側に海水浴客が多々来ているらしい。


今年はえらく割に合わないバイトになっている。


「冷やし中華あがったー!」

「あいよーー」

・・・ぬおー、どの客か忘れたー!

「カレーもあがったぞー!」

「うがーー!、もーわかんねーー!」

客が60人以上居るのに、何でウエイターが俺一人なんだ!!

「あのー、ボート借りたいんですけどー」

「天斗、出してきてくれ!」

「カレーと中華はどーすんの!!」

「あーー、人が足りねー!」

おいちゃんも困っている。





死ぬ・・・

俺とおっちゃんは車から降りることが出来ないくらい疲れている。


「お、おいちゃん、明日もこんなんか?」

「明後日は週末だから、もっと多いだろうな」

「マ、マジでか」


・・・・・・・



「人が欲しい」

俺たちは同時にそう呟いた。


「誰か居ないの、おいちゃん」

「心当たりは一人居るけど、一人じゃ足りんなー」

「要るなら呼ぶぞ」

「じゃあ呼んでくれ」


俺は晩飯を食ってすぐ雄一郎に電話した。

「もしもし」

「おお、雄一郎、バイトしねーか」

「何の?」

「海の家」

「無茶ゆーな、海って何処やねん!」

「日本海」

「行ける訳ないやんけ!」


ぬう、そう簡単には釣れんか。

そらそーだ、今の状況、言うなれば釣竿に針もつけてない状況だもんな。

針でもつけるか。

「交通費も出すし、食費もいらんぞー、さーらーにー」

「さらに・・・何や?」

釣れそうだ、じゃあ餌もつけるか。

「・・・水着のねーちゃん見放題」


「・・・Oh!

馬鹿一匹HIT

「でも土日に競馬出来んのが辛いな」

「大丈夫だ、おいちゃんがPAT持ってる」

「ぜってー行く!」


馬鹿一匹GET

と、言うわけで明日の一番の電車で雄一郎はこっちに向かう事になった。