翌朝


今日も朝から客が多い。

しかし11:00位までは、パラソル出したり、ボディーボードや浮輪、ボートなどの出しだけだから楽なのだ。


そうこうしているうちに雄一郎が到着。

「天斗〜、来たぞ〜〜」

「おお雄一郎、助かった!!」

「何したらエエねん、俺」

「ウエイターだ、俺と一緒にウエイター頼む」

「おお、俺に一番合ってるウエイターやな、俺のぷりちーさでイワしたるわ!」

「いや、別にイワさんでいいから普通に頼む」

「任しとけ、俺が来たからには商売繁盛間違いなしや!」

・・・もう繁盛過ぎて困ってるんだけど。

「おお、雄一郎君とか言ったか、よろしく頼むよ」

「お、オーナーですな、よろしくお願いします」

「オーナーてかいな?いやー照れるなー」

雄一郎は本当に世渡り上手だ。

「そう言やおいちゃんの方の助っ人は?」

「ああ、昼越えるってさ、来たらすぐ手伝えるから」


そうこうしてる間に客がどっと押し寄せてきた。

「お、なかなか忙しいやんけ」

「だろ?」

「しか−し、島流しを数度と無く経験している俺にこんなモン仕事のうちに入らんわーー!!」

そう言い切った雄一郎の動きはまあまあ良く、確かに客は捌けていった。

少し客足の少なくなった頃に

「あのー、五郎おじさんいるかな?」
と、一人の女の子が入ってきた。

奥に通し、隣で話しを聞いてみる。

どうやらもう一人のバイトだそうだ。

「で、君名前は?」

「山羽 観登 (やまは みんと)」

「何かすーっとしそうな名前やな」

「よく言われる」

・・・言われるのか。

「まあハッカでもキシリトールでも何でもええ、ワシについて来い!ワシが一流の仕事師に育てたる!!」

お前の店じゃないぞ、雄一郎。

「はい!」


・・・乗るな

しかしどこかで見た気がするんだが・・・

まあいい、これで仕事が楽になるんだったらどうだっていい。


夕方、皆がいなくなった海岸を後にし、バイト三人はおじさんの軽トラの後ろに乗り、俺たちの夏の間の家であるおじさんの家へと向かった。


なに??
・・・ひょっとして観登もか?

気になっておじさんに聞いてみる。

「ああ、一階に寝てもらうぞ」

まさか女と一緒に暮らすと思わなかった。

その事実を聞き、雄一郎は小躍り、いや真剣に踊りだした。

「女〜、お〜ん〜な〜〜〜♪」

俺はコイツのお気楽極楽さが本当にうらやましい。

「なにゆーてんねん、同じ家に女の子が居る訳や、萌えへんでどーすんねん!」

「お前、ねーちゃん居なかったか?」

「ドアホ!守備範囲外や! 昨日かって俺、ううううう」

泣くほどつらいことが昨日雄一郎の身にどんな辛い事が起きたんだろう。



しかしこう言う賑やかな事があってから、俺たちの夏休みが本当に始まった気がした。


翌日・・・

「コラぁ、観登! 8番さんオーダーまだやろーが!!」

「ごめーーん!!」

「観登! 最低皿は4枚持て!!」

「無理――!!」

「何やとー!!今日の夜特訓じゃー!!」

「ぴーーーー!!」

案外雄一郎はスパルタだった。

そのお陰だろうか、今日は日曜日だというのに客が良く捌ける。

昼飯時も超え、俺たちも順番に昼飯を食う。


やがて暇になってくる2時を超えた頃



「暇じゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
と、雄一郎が絶叫した。

「どうした?」

「日曜日やぞ、稼ぎ時やないか!何でこんなに客が少ないねん!」

「もう2時だしな、後のピークは3時頃だな」

「ドアホ!俺はそんなモンで満足出来ん!! 営業じゃ!」

「営業?」

「キャッチしてくる、おい観登、ついて来い」

「ほえ?」

観登はまだ昼飯の冷やし中華を食べている最中だった。

「お前まだ食うとったんか!はよ食え!」

「きゅうり嫌いなんだもん」

「そんなモン除けてるから遅いんじゃ、きゅうりも食え!」

「だって苦いよ」

「お前キリギリスやったら死んでるぞ!」

「人間だもん」

「かーーー!ホンマにコイツは屁理屈ばっか言いやがって、はよ来い、行くぞ!」

「ひやしちゅーか〜〜〜〜ぁ!!」

観登は雄一郎に拉致られた。


俺的には雄一郎のほうが屁理屈だと思うんだが。



・・・夕方

おじさんはほくほく顔だ。

雄一郎と観登が客引きしてきたお陰で史上最高の売り上げを記録したらしい。

「まー、俺にやらせたらこんなもんっすわ!!」
得意げな雄一郎。

「つ〜か〜れ〜た〜〜〜」
対照的にふらふらな観登。

家に到着したら観登はそのまま寝に部屋に戻った。

夕飯もいらないと寝てしまっているらしい。