夜中
寝付けない。
雄一郎は俺の隣ですやすや寝ている。
そりゃあれだけ仕事すりゃ寝れるだろうな。
仕方なく庭に出て涼もうとする。
・・・まてよ、確か
冷蔵庫に言ってビールを失敬する。
庭でコレで一杯やって寝るべ。
と思ってキッチンを出ようとしたら観登が上から降りてきた。
「お、お前なんで・・・」
「お腹減ったから、何かないかなーと思って」
「あ、そ、そう、じゃ俺はコレで」
そそくさと逃げようとしたが
「あ、ビールだ」
バレた。
「黙っててくれ」
「どーしよーかなー?」
「・・・脅迫か?」
「似たようなもの」
「・・・おごる」
「やった♪」
「何がいいんだ?」
「ご飯と映画だね」
金ないよ、給料出ないと。
「給料出ないと金無いんだよ、・・・給料出るの自分の家に帰ってからだしな」
「だいじょーぶ、家そんな遠くないよ」
「何処?」
「話、長くなりそう??」
「何で?」
「ほんとにお腹減ったの」
「確かカップラーメンあったな・・・」
ずぞぞぞぞぞぞ
ずぞぞぞぞぞぞぞーー
二人で庭でカップラーメンに舌鼓を打った。
観登は腹が減ったから。
俺はさしたるおつまみを発見できなかったから。
しかし月を見ながらのカップラーメンもいいもんだ。
「で、家何処だって?」
「ふひ?ふぁふぁひほ・・・」
「口に入ってるモン飲み込んでから言ってくれ」
「うち? 明石の土山だよー」
確かに遠いといえば遠いが行けない距離ではないな・・・
ん?
何でそんな遠くないって知ってるんだ??
「お前、何で俺の住んでる所知ってんだよ」
「ほんとに忘れちゃってるんだねー」
「・・・」
と、言うことは
「昔会ってるのか?観登と」
「そうだよー、ちょっとショックだったよ〜」
「すまん」
「謝っても仕方ないよー」
・・・そうか、知ってるのか。
「知ってるのか?」
「うん、話には聞いてた、でもはじめて見たよー、記憶喪失の人って〜」
・・・全部知ってるのか。
「本当に思い出せないの?」
「ああ、昔のことはほとんど」
「そーかー、大変だねー」
それ以上は観登も何も言わなかった。
観登は俺のビールが無くなるまで何も言わず横に居た。
女嫌いな俺だが、昔を知っているならまあ良いかと思い、何も言わなかった。
くしゃ
空になった缶を潰し、立ち上がる。
「寝るか」
「そーだね、明日もまた大変だろうし」
はぁ〜とため息をつく観登。
「ははは、雄一郎に引っ張られてるもんなー」
「師匠は元気だから〜〜」
いつの間にか師匠になってるのか。
「まあ、頑張れ、じゃおやすみ」
「おやすみ〜〜」
いい感じに酒も回り、ようやく眠れそうだ。
次の日もその次の日も同じように皆今日も仕事に精を出す。
やはり雄一郎は今日も営業に出、観登は同じようにかりだされる。
二人は案外いいコンビだ。
土日は電話投票で馬券も買った。
勝ったり負けたりだった。
当然その日は客も多くて大変だったけど。
そんな風に8/17日まで過ぎていった。
そんな17日の夕方。
「そろそろクラゲも出るし店じまいだな」
おじさんが言う。
「なんか寂しいなー」
「そうだねー」
雄一郎と観登が言う。
「そうだな」
俺も本心だった。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「いきなり叫ぶな雄一郎!!」
「明後日から後期補習やーーーー!!!」
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
コイツが後期補習という事は俺もじゃねーか!!
「しゃーないな、明日帰ろか」
「そうだな」
次