もうじきクライマックスだな・・・多分。
時間的にももう終わってもいい頃だろう。
そう思って時計を見た時だった。
じゃー
?
何の音だ?
「てんと」
観登が小声で話しかけてくる。
「何だよ?」
「コーラこぼしちゃったよ」
床を見ると確かにコーラはこぼれて前の席に流れていっている。
きっとカバンとか置いてあってズブ濡れだろう。
「どうしよう」
「ずらかるか」
「うん」
もう映画どころではない。
逃げるタイミングを見計らう。
お、係りの女の人がドアを動かしてる。
「行くぞ」
「うん」
最後の歌が始まるや否や逃げる。
「あ〜、ドキドキしたよ〜〜」
確実に映画の感想ではない。
「前の人びっくりしてるかなー?」
「うお!カバンが大洪水に見舞われとるやないか!ってな」
「悪い事したよー」
「ま、映画館ではよくある話だ、気にすんな」
「ホント!!」
たぶん本当ではない。
でも昔に同じことを雄一郎がしでかした。
だからあながち嘘じゃない。
「大丈夫だろ、さて、昼飯食って帰るか」
「ぬなっ!」
「だって、メシと映画の約束じゃないか」
「それじゃあまりにもやっつけ仕事だよー」
・・・年頃の女がやっつけ仕事って。
「つれないなあ、せつないなあ」
「・・・」
「大遅刻したくせにさぁ」
「・・・それを言われると・・・、わかったよ夜メシもおごるよ」
「ほんと?」
あれだけ脅迫してほんともくそもないもんだ。
そう言う経緯から夜飯まで付き合う事になった。
別に何をするでもなかったので、俺の大遅刻の待ち合わせ場所のマクドで昼飯を食って、東急ハンズで色々見たりぶらぶらと海側に行って海を見たりした。
ぼつぼつメシを食ってもいい時間になったので、外に出て店を探す。
「なに食いたい?」
「天斗の好きなのでいいよ」
「じゃあ居酒屋」
「未成年・・・」
「しかたないな」
そう言って近くの洋食屋に入る。
「ね、ね、オムライス食べていい?」
「そのぐらい好きに食ってくれ」
「じゃあさ、じゃあさ、オレンジジュースも頼んでいい?」
まるっきり子供だ。
「かまわんよ」
「わ〜〜い♪」
オーダーを取りに来たお姉さんに
「ジュースは一緒で!」と嬉しそうに言っていた。
やっぱり子供だ。
遊びに来たというより子守りに来た気分だ。
「もっと高いの頼まれると思った」
「え、よかったんだ!」
顔にガーンって書いているようだ。
やがてオーダーした物が運ばれてきて、二人で一緒に食べた。
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