下校の時間を過ぎまくっていたので、先生から追い出される。
「まだ不完全燃焼やな〜」
雄一郎が皆に話す。
「今からどっか行く?」
松林が答える。
「おお、行こうや!」
岩崎も同調する。
「でも電車なくなるんですよ〜」
「田舎だからね〜」
明石の人って皆こんな話し方なのか?
そういえばこんにちはのイントネーションも違ってたな。
「じゃあ今度皆で集まって打ち上げのやり直しってどう」
「おお、潤也!!お前たまにはエエ事言うやんけ!」
「やりましょうやりましょう!」
「楽しみ〜」
「前で盛り上がってるね、みんな」
俺と観登は2人でうしろから皆に付いていっている。
観登の言う通り皆楽しそうだ。
後ろから見たらよくわかる。
「そうだな、楽しんでくれたんだろうな」
「楽しかったよ〜、何も知らない私たちでも楽しかったんだもん」
「そう言ってくれると嬉しいけど、いいのか?」
「何が?」
観登が全くわからないと言う顔で俺を覗き込んでくる。
「いや、皆と同じように男友達探しに来たんじゃないのか?別に気を使わなくて後ろから俺と一緒に歩かなくていいんだぞ」
せっかく観登は遠いところから来たのに友達も作らずに帰るってのもかわいそうだもんな。
「皆はそう言う目的もあったと思うけど私はいいんだ」
「何で?わざわざ遠くから来たのにか?」
「天斗の学校での姿を見てみたかっただけだから」
「は?」
「昔から思ってたんだ、一緒の学校とか行ってみたい、一緒に学校から帰りたいって」
そう言えば俺の記憶の無い頃を知ってるんだよな、観登は。
「だから今こうやって帰ってるだけでも本当に嬉しいんだよ」
「ならいいけどさ」
俺の記憶
俺の知らない記憶
俺が知らないのに観登は知っている。
嫌な感覚。
飲み込まれそうになる。
「私はね」
「え?」
思考が止まる。
「楽しかったんだよ、この二日」
「そうなのか?」
「うん、全力で楽しかった!」
「そうか」
「でも彼女って言ってくれてもよかったじゃないかぁ」
「彼女じゃねーだろ!」
「でも普通気を使って彼女って言うよ!」
「言わない!」
「言うもん!ほんと天斗は気が回らないんだから」
「うるせぇ!気を回すのは馬券だけで十分だ!」
「ぬな!天斗最低〜〜」
来てくれたお客さんを駅まで送り、その後男連中皆でナガサキへ行ってもう一騒ぎした。
「天斗、ありがとな、運動部代表してお礼を言うわ」
松林がそう言ってくれたのが嬉しかった。
こうして2年の文化祭は幕を閉じた。
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