序章
「長老ー!使者がもどりましたー!」
平穏な城に似合わぬ伝令が飛び込んでくる。
「…ふむ、して様子は?」古文書に視線を落としていた長老は、顔をあげる。
「はっ、四千の兵団はほぼ壊滅。伝令隊数騎が戻ったのみ!」
「伝令隊の報告はどうじゃ?」
「伝令隊の報告によれば、大陸中央の聖央神獣殿は、突如あらわれし異形なる魔物により陥落!」
兵は長老の前にひざまづくと、息を切らせ答える。
「…やはり、古文書に記された通りこの日が来てしまったか」
長老は呟くと、古文書に視線を戻す。
「異界門解放の儀を行わねばなるまい。現世(うつよ)と幻世(おぼろよ)の理(ことわり)が崩れる。その先には希望か絶望か…まさに神のみぞ知るものであるな」
長老は古文書に記された最期の一文をなぞる。
『異形の解放は全ての序章』
『序章の始まりは異界の解放』
『異界門の解放は四方神の解放』
『四方神の解放は唯一絶対神の解放』
『唯一絶対神の解放は
現世と幻世の混沌と秩序』
古文書をとじると長老は決意を新たにする
「一族の使命を果たす時が来たようじゃな。」
長老は足早に儀式の間へ向かった。
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