─放課後

雄二と貴志は駅前のマックにいた。

雄「そろそろ、来る頃だと思うんだが。」

「北川ー!」

いかにも体育会系のガタイをした男があらわれる。

雄「来たね。省吾さん、こっち!」

省「おう、待たせたな。」

雄「貴志、紹介するよ。田中省吾さん。ウチの道場の門下生で高校三年生。省吾さん、コイツが俺のツレの西ノ宮貴志。」

貴「どーも。西ノ宮貴志です。」

省「ん。田中省吾だ。西ノ宮君だっけ?堅苦しい挨拶は無しにしよーや。俺そーゆーの苦手なんだわ。」

省吾はガハハと豪快に笑う。

貴「俺も堅いのは好きじゃないんで、貴志でいいです。」

省「なら俺も省吾でいーぞ。それと敬語も無しで。いつもどーりでいい。」

貴「なら遠慮なくそうする。」

雄「で、省吾さん。変な事頼んどいてなんだけどOKなの?」

省「お?任せとけ、智子ならもう来るよ。しっかし、いきなり女紹介しろとは、どーゆー事だ?お前にゃ沙織ちゃんがいるだろ?」

雄「ちょ、なんでそこで沙織が出てくんだよ。省吾さんちゃんとメール読んだ?」

省「いや。めんどいから『女の子紹介して。』しか読んでねー。」

雄「これだよ。ホントにダイジョブかよ?」

省「心配すんな。智子にメール見せたら『おもしろそー♪』とか言ってたから。」

雄「なら、いいけどよ。」

二人の会話に貴志は雄二に頼んだ事を後悔した。

雄「とりあえず今からでいいから、メール全部読んでよ。理解してくんないと話が進まないからさ。」

省「わーったよ。めんどくせーな。」

省吾はぶつぶつ言いながら、メールを読む。

省「…OK、理解した。なるほどな、それで智子は面白そうとか言ってたのか。」

雄「で?その智子さんて、いつ来んの?」

省「部活に顔だけ出してくるって言ってたから、もう来るんじゃね?電話してみっか?」

「あら、その必要ないわよ?」

省吾の後ろに一人の女子高生が長い髪をなびかせて立ってた。

省「おう、来たか。」

「『おう、来たか。』なんて挨拶はいいから、まず紹介してよ。気が利かないなぁ。」

省「そうだな。こっちが北川雄二、俺が通ってる道場の跡取り息子。趣味はナンパと麻雀とゲーム。」

雄「跡取りじゃねえし、余計な事は言わなくていい!」

省「いちいちツッコむな、話がそれるだろ。で、こっちのイケメンが今回の主賓の西ノ宮貴志。」

貴「どーも。」

省「で、コレが井上智子、俺の同級生。見ての通り見た目はいいが、話してみると女としての自覚がねえ。友達としては最高だが、彼女にしたら最高にゲンナリする歩くブービートラップみたいな女だ。」

智「ちょっと、何よその紹介は!」

省「こまけーこたぁ、気にすんな!」

能天気に笑う省吾を見て智子はため息をつく。

智「もー、省吾はしょうがないね。えっと、北川君と西ノ宮君、改めて初めまして、井上智子です。智子でも智ちゃんでもお姉ちゃんでもいいわよ。」

智子はイタズラっ子のような笑顔をうかべる。

省「…お姉ちゃんはねーだろ。」

雄「俺も雄二でいーよ。智ちゃん先輩。」

雄二もイタズラっ子のような笑みで答える。智子には似たようなキャラを感じたようだ。

智「智ちゃん先輩ってなんかカワイー♪気に入ったわ!雄ちゃんナイスよ!」

智子は雄二にニッコリ笑うと親指をたてる。

雄「雄ちゃんって…。まぁ、智ちゃん先輩なら呼ばれてもいいや。なんかキャラ的に許せる。」

二人が意気投合してるところに省吾にしては珍しく冷静な言葉が届く。

省「あのさ、盛り上がってるとこスマンが主賓の貴志が置いてけぼりだぞ。」

省吾のツッコミに二人は我に返る。

雄・智「「あっ、貴志(西ノ宮くん)ゴメン。」」

省「なにそのハモリ。お前らホントに初対面?」

貴「別にかまわんが。あっ智子さん、俺も貴志でいいよ。」

智「ホントごめんね。じゃあ、本題に入ろうか。」

雄「OK、じゃあ説明するね。」

雄二はまず安藤の件を一通り話す。

省「そりゃ、難儀だな。イケメンも大変だーな。」

省吾が同情するが、この男が言うとまったく大変そうに聞こえない。

智「で?具体的にどうするつもりなの?」

貴「そうだ。具体的な話は俺も聞いてねぇぞ。」

雄「今度の日曜あたりにみんなで遊ぶって名目で安藤を呼び出すから、目の前で思いっきりイチャついて欲しいんだ。それこそ、付け込む隙もないくらい。」

省「随分ベタな作戦だな。そんなんでうまくいくのか?」

雄「しょーがねーじゃん。貴志が彼女がいるなんてベタな嘘で逃げようとするんだもの。ホント女の扱いがうまいようで安藤みたいなラフプレイに弱いから。」

貴「うるせーな。」

智「でも、成功率は高いと思うよ?」

省「なんでだよ?」

智「貴志君の嘘は正直失敗だったと思うのね。」

貴「…それを言われると返す言葉がないです。」

智「だから、その安藤って子も八割方嘘だと思ってると思うの。」

省「まぁ、そうだろうな。」

智「その嘘が嘘じゃないとなれば、納得するしかないじゃない。」

省「そんな簡単にいくか?」
智「大丈夫よ。嘘は付き通せば真実になるのよ。」

雄「その辺は貴志と智ちゃん先輩次第かな。」

智「それはわたしに任せてよ。どーんと、大船どころか豪華客船に乗ったつもりでいなさい。」

省「豪華客船ってタイタニック?」

智「それじゃ沈むじゃない!」

雄「それはともかく、何とかなりそうだし、次の日曜でOK?」

智「おっけー。日曜なら部活休みだしいいよ。」

貴「俺もバイト休みだし、いいぜ。」

省「俺、道場の稽古あんだけど。」

雄「午前だけだろ?午後はじっちゃん老人会の集まりがあるから。11時に終わるよ。」

省「ならOKだ。」

雄「俺も午前中はバイトだから昼過ぎに集まればいいでしょ?」




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