部屋の中心に描かれた魔法陣を四つの燭台が火柱を上げ取り囲む。
そこに向かい呪術師らしき老人は、古文書を開きそこに記された呪文を唱える。
「悠久の時を越え地の底より異形なる者溢るる時、天より使わされし四方を守護する神もまた降臨す。」
「時は満たせり。異形なる者に裁きを下す北方と大地の守護者よ。この地に降臨せよ」
「器は違えど、うちに眠りし魂に変わりは無し」
「悠久の調和は乱れたり、眠りし調和の守護者の魂よ目覚めよ!」
呪術師は古文書を閉じ大きく息を吸い込むと、両手を天にかざし最後の一文を唱える。
「北の守護神に選ばれし魂の持ち主よ、ここに来たれ!」
呪術師の最後の一言と共に魔法陣の中心から光る玉が浮かび上がる。
魔法陣より浮かび上がった光の玉はそのまま膨れ上がり閃光を撒き散らしながら炸裂する。
何も見えない程の光が部屋を埋め尽くす。
その後訪れた静寂と共に、光は魔法陣に吸い込まれていった。
魔法陣の中央に一人の青年を残して。
「おお、古文書に記された異界門解放の儀は真であった!」
呪術師は魔法陣の中央で気を失って横たわる青年を見て歓喜の声を上げると従者達に指示を出す。
「すぐに、床を用意せよ。この方は守護神の魂を継ぐお方である。お目覚めになるまで丁重に御扱いするのだ。」
「はっ。」
指示を受けた従者達は横たわる青年を抱き抱え、部屋を出ていく。
呪術師はその様子を見届けると安心したようにため息を漏らす。
「伝承によればあと三人。我が一族の同胞は無事、異界門解放の儀を行っただろうか?」
そこまで口にして頭を振る。
「愚問であるな。その為の我が一族。役目を果たさぬ愚者はおるまいて。」
呪術師は建物の外に出ると空を見上げる。
「異界門開放の儀の先には希望か絶望か…」
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