とにかくさっさと仕事を終わらせ、さっさと帰りました。


病院に着くと嫁は苦しんでいます。

苦しんでいる横をふと見ると大変美味しそうな夜ご飯がおいています。

よく見てみると、牛フィレステーキ(国産)、えんどう豆の冷製スープ等、非常に豪華です。

この産婦人科は食事がコースみたいになっています。


食べたいです。


ものすごく食べたいです。


嫁を差し置いて僕が食べたいです。

しかしここで食べたいと言う気を見せたら後々攻められるかもしれません。

ここは奴に自分であげると言わせなければなりません。

営業で鍛えぬいた話術できっと勝ち取って見せます。


「おい、痛いかも知れんけど頑張って食べろや」

「いい、食べられへん」

「いや、がんばって食っとけって」

「無理、食べて」

「しゃーないな」



にやり


「あん時の肉返せとか言うなよ」

「ゆわへん」



にやり

こうしてこのおいしそうな肉の塊は僕が頂く事になりました。

うまいこと晩飯を獲得した僕は、親が帰ったあとに一人で食しました。


しかし冷製スープははじめは旨かったのですが、だんだん要らなくなってきました。

横には嫁がいます。

しかし、おいしくないからと言って渡しても食うような奴ではなかったので一計を案じました。


「おい、これ口さっぱりするからこれだけでも飲め」

案の定飲みました。

僕は何と相手を気遣うことのできる素敵なナイスガイなのだろうと自分で自分に酔いしれました。