第一章 あっけねえ・・・
「歩けるか?」
「ぬ、やってみる」
ふらふらするが歩けなくはなさそうだ。
「うん行けそうだ、じゃあ急ごう」
「ああ」
そう言ってワカクサヤマからナラに戻る俺たち。
いつもは大騒ぎする一行だが、今日だけは様子が違った。
さすがにナラが爆破されたんでは他国と言えども気が悪い。
暗い夜道を黙々と歩く。
数時間後、朝になった頃。
ナラの王城のあったと思われる場所まで戻ってきた。
「・・・焼け野原だな」
「ああ、すごいもんだ」
ケンタがそう答える。
「あいつがやったのか」
こながそう尋ねてくる。
「決定的ではないかもしれないが、そう考えるのが妥当だろうな」
「でもそんな力がありそうには見えなかったが」
クライが異を唱える。
「炎術士なら可能だ」
「なにそれ?」 ク
「炎を自分の好きに操る連中だ、普通の火であれ魔法の火であれ。タバコに火をつける程度の火から、一つの町を焼き尽くす炎まで一度見たことのある炎だったら自由に操ることが出来
る」 ケ
「スゲえな」 ク
「でも、そんなのじゃなかった気がする」
シュロがそう言った。
「なんでだ?」 ホ
「なんとなく」 シュ
そういえばシュロは竜族だったんだな(作者も忘れてたが)。
そこらへんの感かも知れない。
「まあ何にせよヤツが絡んでるだろ、とりあえずぶっ殺そう」 ケ
「そうだな、シュロは倒さなきゃ家に帰れないしな」 ク
「作者も忘れていたが、そういえばそう言う決まりがあったな」 ホ
・・・バラすな。
「しかしこうまでなってたらやっぱり国王とかも亡くなってるのかな」 ク
「気配感じないからな、そうだろう」 ケ
「そう言えば、近くにカイザーの店なかったっけ?」 こな
「確かあの辺に」
と言ってその方向を見渡す。
やはり跡形はない。
ばらばらばらばらばらばら〜〜
上空からそんな音がした。
見上げると鉄の塊が空を舞っている
その塊は着陸すると人が降りてきた。
「何があったんじゃーーーーーーー!!」
見紛う事は無い、カイザーの店店主のカイザー氏だ。
「ナラが炎上したって聞いてヘリで戻ってきてみたら・・・」
・・・時代設定を無視するな。
「ワ、ワシの店無くなっとるやないけーーーー!!」
カイザーの元に行く。
「お前らか、お前らがやったんかーー!」
クライが首を締め上げられている。
「ワシがお前らからボッた仕返しかオンドリャァ!」
一応ボッてる自覚はあったのか。
とりあえずカイザーをなだめ、犯人は響夜っぽいと言う事を伝える。
「ぶっ殺す、そいつ絶対殺す」
ヘリに戻り、何やら物々しい装備をして来た。
ランチャーやら、マシンガンを持っている。
「このヘリは空飛ぶカイザーの店やからな」
恐ろしい鉄の塊だな。
俺たちも響夜を追っている旨を伝える。
「そうか、しゃーない、お前らに特別に装備タダでわけたる」
そう言って何やらごそごそ取り出してきた。
「おい、そこの鶴瓶」
クライを呼んでいるようだ。
「なんっすか」 ク
「この鎧持って行け」
そう行って魔法の掛かった鎧をくれた。
「その鎧はチンギス・ハーンの鎧や。 モンゴルの魂がふんだんに含まれてるからな、かなりの魔法防御力があるぞ」
いつも通り胡散臭い説明だが、これもなかなかの魔法力が感じられる。
鶴瓶・・・もといクライはその鎧をチョイスし、装備した。
シュロには防御力の上がる髪飾りを、俺には魔法力を上げる首かざりを手渡してきた
「あの、俺には」
ケンタがそう言うと
「おお、ちょうどええのがあるぞ」
と言って、ヘリでごそごそ探し出し、
「モビルスーツやる」
「段ボール箱にしか見えないんですけど・・・」
渡してきた物は段ボール箱に穴が開いてるものを手渡してきた。
「ドアホ、ガンダムじゃ!これはガンダムなんじゃ! とにかく着ろ!!」
ガンダムと言うよりロボコンみたいだ。
しぶしぶ着るケンタ
「後ろのつのみたいなの二本あるのはなんですか?」
「ビームサーベルや」
「・・・ガードマンの持ってる誘導棒じゃないですか」
「暗いところでは目くらましになるわい!」
その程度しか使えんのか。
「段ボールを覆ってるこの銀紙何っすか?」
確かに銀紙の上に白やら青やらを塗り倒している。
「お前ら冒険者のくせにわからんのか!ミスリル銀じゃ、叩いて叩いて伸ばしまくったんや。 そうしたら原価安くなるからな。
一応ミスリルやから普通の魔法から異世界の魔法でもダメージを軽減しよるわ」
・・・ほんとだ、ミスリル銀だ。
まあ、もらえる物だし、とりあえずもらっておく。
しかしこのミスリル銀、金箔並みの薄さだな。
相当な技術力だ。
「じゃあ、ワシはそのボケ探してくる」
そう言ってカイザーはそのままヘリに乗って飛んでいった。
ナラ王国に留まっても仕方ないので、ガッセ王国に戻ろうという事になった。
一応ドラゴンオーブもゲットできたしな。
しかし俺の体力も完全に回復していないし、武器の手入れも最近サボっていたのもあるので、今日はここで休養をとり、明日朝早く歩き出す事にした。
テントは王城のあったと思われるところに張った。
「メシ探して来るわ」
そう言ってケンタとクライが出かけていった。
シュロは銃の手入れをしている。
「なあ」
こなみるが語りかけてきた。
「なんだ?」
「この間のすごい魔法、いつの間に習得してたんだ?」
「あれか、イチかバチかだった」
「完成してなかったのかよ!」
「ははは、まあな」
「全く、それよりあの響夜とか言うの次いつ来ると思う?」
「多分、今日だな」
「やっぱりか」
「ああ、向こうからしたら殺すにしても何にしても戦術的には今日が一番いいんじゃないか」
「そうだろうな、見張りだけは強化しておかなきゃな」
「今日は寝ずの番か」
「そうなりそうだな」
「って言ってもお前動けないけどな」
夕日になった頃に少し早いが皆で飯を食い、見張りの順番を決め、少し早いが暗くなったらすぐに寝る事にした。
順番は、まず体力魔法力の回復が優先しなければならない俺は先に寝さされた。
結局いつもの順番のクライ、ケンタ、俺の順番で落ち着いた。
・・・夜中・・・
いつもの通り起こされる。
今回は何もなく起きた。
というよりも夢なんか見る余裕もなかった。
ケンタと交代をするが、俺がまた寝てしまうかもしれないと疑われたため、こなを連れて行く(持っていく?)事になった。
まあ、一人で見張りも寂しいしちょうどいい。
弱くなった焚き火に火をくべ、少し強い火にした。
「もう大丈夫なのか?」
こなが聞いてくる。
「ああ、完全回復とは言えないが十分動ける」
「しかしすごい魔法もあったもんだ」
「アレか?俺もあそこまですごいと思わなかった」
「はじめて使って大成功とはまったく恐れ入るよ」
「いや、国で一回使ったことはあるんだけど大失敗だったんだ」
「そうなのか」
「この旅でLvも上がったんだろうな」
「俺は変なLvが上がってる気がする」
「ははは、この旅が終わるころには伝説の名剣だな」
「嫌だぜ、御免蒙る」
・・・・・・・・・
少しの沈黙
「なあ」
今度は俺から話しかける。
「どうした」
「俺の判断は間違ってなかったんだろうか?」
「…まだ考えてたのか?」
「人の支配するところは確かに戦争が耐えないわけだ、そのために俺たち騎士や戦士も雇われている、それじゃいっそ神の支配の世のほうが平和で安全なんじゃないかって思うんだよ」
「でもどうせその神を復活させたってあいつらが好きに使う気だったんだ、そのほうが手におえんぞ」
「確かにそうだな」
「そんなことより俺は一体いつになったら人間に戻れるのか復活させて神に聞いてみたい気がするな」
「それだけのために復活はさせられんな」
「そらそーだ、・・・っと、いらっしゃったみたいだぞ」
大分遠いが確かに人の歩いてくる音がする。
焚き火を消し、テントに向かってみんなを起こす。
と思ったらクライは夜食を食っていた。
「いやね、腹へって仕方なかったんだわ」
口で爪楊枝を動かしながら戦闘隊形に入るクライ。
ほかの二人を起こし、作戦を立てて全員が戦闘隊形に入った。
かすかに残った城壁を背にして、小さくなって隠れる。
作戦はまずクライが大声を出して飛び出す。
当たりそうになるまえに横に飛びのいた瞬間にシュロが照明弾を響夜に撃ち込む。
ひるんだ隙に目をつむっていたケンタと俺が奴に向かって行くと言う寸法だ。
もしこの一連の動作がうまくいかなかったら後は流動的に敵を撃破する。
息を殺して奴を待つ。
相当激しい戦いになるかもしれない。
じゃり、じゃり、じゃり
人の歩く音がどんどん近づいてくる。
一番初めに飛び出すクライの方向から・・・。
良い所から来てくれた。
じゃり、じゃり、じゃり
奴の気配だ、間違いない。
じゃり、じゃり、じゃり・・・・・・
止まった。
「そこに居るのは分かっている」
奴がそう言った。
「行けるか、クライ」
こなみるがそう呟く。
「少し遠いが行ってみる、後は頼んだ」
かちゃり
シュロの砲弾の準備もできた。
俺とケンタは目をつむる。
「行くぞ、クライ」
「ああ、こなさん砕けんで下さいよ」
「お前こそそのくわえている爪楊枝飲み込んで死ぬんじゃないぞ」
「3.2.1」
「GO!!」
その瞬間、クライは体に似合わぬ俊敏さを見せ奴に飛び込んでいく。
「テメエ、生きて帰れると思うな!」
「居るだけでみんなを不幸にする奴には消えてもらうぜ!」
クライはくわえていた爪楊枝を奴に向かって噴き出し、突撃して行った。
ぷす
「ふあっ」
左によけるクライ。
頃合いを見計らっていたシュロはジャストタイミングで響夜に向かって弾を打つ。
ひゅ〜〜〜〜〜〜〜
ぴかーー
えらく向こうの方で照明段が炸裂する。
避けられたか!
目を閉じているため状況がよく分からない。
「ケンタ、行くぞ!」
「おう」
勢いよく飛び出す俺とケンタ。
しかし響夜はいない。
かわりに居るのは呆然と立っているクライとシュロだった。
「クライ、響夜は!」
「・・・ここ」
指差す方向には確かに人が倒れている。
「・・・なんで?」
「いやね、俺さっき夜食食ってたっしょ、その時使ってた爪楊枝、突撃の時コイツに向かって吹いたら・・・」
クライが言う。
「うまい具合にコイツの広いデコに突き刺さったんだわ、どうやら急所にクリーンヒットだったらしくその時点で絶命したらしいわ」
こなも言いにくそうに言う。
あ
あっけない。
かくして俺たちの任務の一つの響夜討伐は意外な結末を迎えた。
・・・って、こんなんで良いのか?