第二章 胎動
黒の導師の一軒が意外な結末を迎えたため、ガッセ王国に戻ることにした。
また何も無い道を歩く。
夜になってはテントでの宿泊、見張りを立てると言ういつものスタイルを崩さないでいた。
・・・そんなある夜・・・
がらがらがら
ぱんぱん
「ふぅ、死んだふりと言うのもみっともないもんだ」
瓦礫の中から出てきた男が一人。
そいつは辺りを見回し、ある魔法を唱えてナラ王城跡まで飛んできた。
「けっ、馬鹿が、もう少し頑張ればいいものを」
黒の導師の遺体を見つけてそう呟いた。
いや、厳密に言うと、まだ完全に絶命したわけではなかったらしい。
「まあ、たかだか道化師などこのくらいの物か」
どかっ!
横たわっている遺体を前に大きく蹴り出した。
どさっ
「仕上げは隆々、後は仕上げを・・・」
ぽっ
そいつの指先から小さな火が出る。
黒の導師に向かって指先を向ける。
ざうっ!!
ごおおおお〜〜〜。
指先の炎は巨大な火の固まりとなり黒の導師を焼き尽くす。
焼け崩れていく黒の導師。
そいつは黒の導師の完全に息の根を止めてしまった。
「なんとやら・・・だな」
当然そんなことは露知らない俺たちパーティーだった。
やがて朝が来て再度イコマ経由で帰る。
行くときあんなにいたモンスターやら、罠なんかもありゃしない。
悪徳商人まで消えている。
・・・なんか歌みたいだな。
結局12日かかってガッセ王国に到着。
(一応)国王のしもる王にフェニックスオーブを渡し、黒の導師を倒したことを報告する。
「あ、おつかれー、よー帰ってきたなー、死ぬかなーとか思っててんけど」
最悪の国王だな。
「まあとりあえずお疲れ、次の依頼またするから2.3日休んでて」
そう国王は言う。
「はっ」
「あ、そうそう、黒の導師倒したからシュロの罪帳消しね、自由にしていいよー」
と言う訳でシュロは罪を許され、無罪放免となった。
「案外女ってドライだな」
城を出た後、こなが語りかけてくる。
「そうっすねー、一緒に来るかとか思ってたんすけどねー」
クライも同調する。
シュロはそそくさとパーティーを出て家に帰って行ったのだった。
「まあ、開発したいものもあったんだろう」
俺はそうフォローしておいた。
「ま、居なきゃ居ないで何とかなるでしょ」
ケンタも案外ドライだ。
そんな訳でパーティーが3人と一振りになってしまった。
「とりあえず俺の家で話すか」
俺の家にみんなを案内する。
「さて、まずはケンタにいろいろ聞かなきゃな」
「そうだな、まずは何から話そうか」
「俺は一体いつになったら人間に戻れるの?」>こ
「そんなの作者に聞いてくれ」>ケ
「まずは俺たちの集めているものについてだな」>ク
「それから行こうか、まず聖人の血、ブレイクメイス、フェニックスオーブ、ドラゴンアイの4つを集めてるわけなんだが」>ケ
「ブレイクメイスとフェニックスオーブはもう集まったな」>ホ
「フェニックスは再生、生命の再生を促す品がフェニックスオーブだ」>ケ
「ほうほう、じゃあ持ってればお前が死んでもすぐに何とでもなりそうだな」>こ
「ちがいない」>ク
「ドラゴンアイは永劫の証、永劫の知識、炎の源」>ケ
「炎?」>ホ
「不死鳥を呼び起こす為の炎がいるんだ」>ケ
「聖人の血、血というより体だな。 神々をよみがえらせるための受け皿が居るらしいんだ」>ケ
「神たちを複数復活させるのに体は一体で良いのか?」>こ
「そこなんだ、ひょっとしたら神を一柱しか蘇らせられないんじゃないかって」>ケ
「誰が?」>ホ
「シンゴ卿」>ケ
「そう言えば忘れてたけど、ケンタはシンゴ卿の弟子だったな」>こ
・・・そんなこと作者も忘れてた。
「プリースト狩りがあったのもそのせいだろう、多分奴等が誘拐してたんだろうってさ」>ケ
「なるほど、実験台は多ければ多いほどいいもんな」>ク
「その通り、その聖人もどんなのが該当するかわかんないんだってさ」>ケ
「そら俺でもいっぱい捕まえに行くわ」>こ
「ブレイクメイスは古代魔法王国の大司祭が作ったもの」>ケ
「何のために?」>ク
「そこまでは知らんよ、ただこれは本当に必要なのか分からないんだ」>ケ
「???」>ホ
「昔はブレイクメイス以外の三つで復活するって言ってたらしいんだけど、時代が進むごとにメイスもいるって事になってるらしいんだ」>ケ
「へー」>こ
「結局はそれを集めて神を復活させられますって事なんだが、連中はその神の力を使おうって考えてたらしいんだ」>ケ
「ほうほう」>ク
「それで俺が探す事になった訳」>ケ
「なるほどな」>こ
「そう言えば何で王家の墓の構造知ってたんだ」>ク
「あらかじめモモさんに聞いてたのさ、あの人シーフだし」>ケ
「なるほど・・・って、そう言えばクライがシーフだかどうなのか調べるんじゃなかったっけ!」>こ
「そうだった、じゃあ冒険者の店にでも行くか」>ホ
と言う訳で冒険者の店
「そこをどきやがれ」に行く。
ネーミングセンスは皆無だが、冒険者はこの間クライたちを見つけた所よりは断然良い。
いらっしゃーい
奥から大将の威勢の良い声が聞こえる。
最近は俺たちもいっぱしの冒険者になったので名も通っている。
だから楽に仲間も集まると思ったんだけど・・・。
「王国専属のパーティーだったら給料安いから嫌」
と言う声ばかりでなかなか居ない。
こんな所まで王のケチさは響き渡っているのか。
仕方ないので先にクライの技能のLvチェックをしてもらうことにする。
「いらっしゃい」>大将
「Lv計ってもらいたいんだけど」>ホ
「誰のだい」>大
「あ、俺っす」>ク
「お笑い芸人 師匠クラス」>大
「なんすかー、鶴瓶って言いたいんすかー!」>ク
「嘘だよ、手を出しな」>大
大将はクライの手をじっと見た。
「戦士 8 フィッシャー 32 吟遊詩人 4 盗賊が・・・28だね」
「俺 盗人ですかーーーー!!」>ク
「なんか身に覚えあるんじゃないか?」>ホ
「そんなん無いっすよー」>ク
「でもLv28ってかなりのモンだぞ」>ケン
「そうだな、28っつったら・・・小さい美術館くらいなら簡単に忍び込んで仕事できるくらいだな」>大
「大盗賊じゃん!」>ケン
「お前何したんだ、今からでも自首したらどうだ?」>こな
「馬鹿な事言うな、ただ若かりし頃にチロルチョコ万引きしたり、傘鍵作って違法駐輪してるチャリをちょっとお借りしたり、ちょっとむかつく奴の家に火矢を放ったり、自分でお金作って試しに使ってみたり、国営の競馬をうちで皆に見せてあげて自分が胴元をして些少の利益を得たり、校舎の窓を割りまくったり、盗んだバイクで走り出したり、免許も無いのに馬車転がしまくったり、エロビデオ違法コピーして販売したり、海に入ってウニやらアワビを自主的に漁したりしたくらいだ!」>ク
「十分悪いわ!!!」
どうやら奴は窃盗、放火、通貨偽造、ノミ屋、器物破損、無免許運転、著作権法違反、密漁等様々な犯罪を犯していたようだ。
仕方ないのでシーフギルドにクライの名前を登録に行く。
シーフ(盗賊)、アッサシン(暗殺者)等、闇に属すると思われるギルドは登録していないと追っ手をギルドから向けられる可能性もあるからだ。
とりあえずクライはしばらく研修があるらしくその場に残ることになった。
俺たちもいったん家に戻ることにした。
ケンタは宿に行くのかと思いきや
「ちょっとレベル上げてくる」
と言って街の外へと向かっていった。
「あいつぽくぽく死ぬの気にしてるのかな?」
「そーと違うか?」
その二日後王城から登城の命を受けた。
こなを連れ(持ち?)王に謁見する。
王の横にすでにケンタが来ていた。
「ああ、俺も呼ばれたんだ」
「あー、シンちゃんの弟子やし呼んどかなあかんかな〜と思ってな」
相変わらず軽い王である。
「ってゆーか、なんか街から3Kmほどしたところで死体になってて棺桶でここに運ばれて来てんけどなー」
そう言われて少し恥ずかしそうにしているケンタ。
やっぱり死んでたのか。
「で、レベルは上がったのか?」
「セージ(学者)が1ほど」
「役にたたねぇ」
「あんな〜、ろし君とこに今から書く手紙持って行ってからシンちゃんとこにこれ持って行って欲しいねん」
と言って王に、フェニックスアイとなにやら見慣れない龍の置物を手渡された。
「この龍は?」
「ああ、ドラゴンアイって言うねん、この間取って来てもらってん」
「誰にっすか?」
「フリーのパーティーのカオス君らのパーティーに」
案外手は早めに打つ王である。
「で、集まったからそれ保管するのにあそこが一番いいと思って」
「どこにあるのか分からなくなるあの倉庫ですね」>ケ
「そうそう、報酬は8万8千円な」
安い上に中途半端だ。
多分10万円と言いたかったんだろうがちょっと削ったんだな。
後一万二千円上積みして王国に如何ばかりの経済負担がかかると言うんだろう。
「了解しました、ホッホー以下3名アワジに出発いたします」
「うん、ほんじゃ手紙書くから待ってな」
と言って王は手紙を書き始めた。
「しんちゃんへ、元気してるか〜、どーせヒマそうやし仕事やるわ〜、有難いと思ってくれよ〜」
・・・相も変わらず王の手紙ではない。
「よっしゃ出来た、持って行って〜」
出来た駄文、もとい手紙を持って王城を出、シーフギルドにクライを呼びに行く。
「今回金にならんけど行くか?」
「当たり前だ、行かなきゃ目立たねぇ」
そんな安易な理由で金にならん仕事に向かうクライ。
しかしこれだけでは正直戦力が心もとない。
俺
ソーサラー
Lv 56
総合Lv 56
ケンタ
プリースト
Lv 15
シャーマン
Lv 4
セージ 20
総合Lv 15
クライ
ファイター 8
フィッシャー 32
バード 4
シーフ 29
総合Lv 29
(しかし剣で戦ってる分にはLv 8)
要はソーサラーとプリーストとシーフしか居ないと言う事だ。
ファイターとシャーマン欲しいな。
どっちも中途半端なモンだしなー。
せめてこなが人間に戻ってくれたらなー。
一応いっぱしの戦士なんだけどな〜。
言ってても仕方ないし早速アワジに向かう。
アマからニシノミヤ、アシヤを越えてコウベで船に乗る。
アワジに渡り宿を取る。
「何にも無いな〜」
「店がか?」
「いや、敵とかモンスターとか」
「作者がめんどくさくなったんじゃないか?」
「違いねえ」
・・・こっちにも都合ってモンがあるんだよ。
何も起きる事無く夜もふけて行った。
「応答せよ」
・・・?
「・・・る血を持つ者よ」
・・・・・・?
「そう、君だ」
お、俺?
ケンタが目を覚ます。
「そうだ、こちらへ」
その声に誘われるようにケンタが一人で夜の闇に消えていった。
朝
宿から発った俺たちは朝から敵と戦いっぱなしである。
まずホブゴブリン6匹
とりあえずこのくらいは簡単に倒す。
続いてスケルトン8体
中にはスケルトンナイトが2体含まれていてなかなか手こずった。
さらにサンドストーカー3体
これはミミズの巨大版で口がやたらでかい。
ぼろぼろになりながらも倒す。
昼飯を食った後、また戦闘の嵐。
「何でこんな奴がアワジにいるんだ!」
ケンタが絶叫する。
巨人族の登場である。
オーガー2匹サイクロプス1匹が俺たちを阻む。
「クライ、レジスト(抵抗)しろ!」
「よっしゃ!俺にかまわず撃って来いホッホー!」
「万能なるマナよ、いかづちとなり、荒れ狂え!」
空に黒い雲が完成し、雷の柱となって辺りに降り注ぐ。
「ギャー!」
巨人族はどうやら雷に弱いらしくひるんでいる。
「ぎぇーーーーーー!」
クライもレジストに失敗しダメージを食らっている
「どががががが!!」
こなソードは金属なのでさらにクリティカルHitとなって苦しんでいる。
「ケンタ、回復だ!」
「了解! ファリスよ、彼の者に癒しの手を」
クライが回復する。
ケンタがふらつく。
「あいつの精神力の低さなんとかならんのかな」
シビれながらこなが感想を言う。
「今だクライ!俺の魔法の当たった後に飛び込め!」
「よっしゃ!」
「万能なるマナよ、光の矢となれ!」
ライトニングの魔法が完成し俺の杖から光が一直線に矢となって飛び出す。
オーガーの横っ腹とサイクロプスのどてっ腹に命中。
ライトニングは貫通する矢になっているので使い方によっては非常に効果的な魔法になっている。
「よし、くたばりやがれー!」
クライが走りこみ(珍しく)シーフらしく身軽な動きを見せる。
巨大ハンマーを振り下したその腕に飛び乗り少しジャンプして剣を水平に走らせる。
サイクロプスの胴と首が離れ、崩れ落ちた。
「よっしゃ、後に飛べクライ!」
こなソードがそう言うと崩れかけているサイクロプスの胴を蹴り、真後ろのオーガーに向かって飛ぶ。
「ちょっと届かんぞ!」
「ファリスよ、彼の者を打て!」
ケンタの祈りとともに拳から衝撃波がそのオーガーに当たる。
後によろめいたオーガー。
「よっしゃ、珍しく役に立ったじゃないかケンタ、行けクライ!そのまま俺を振り下ろせー」
「貰った!」
体を真っ二つとは行かないが、頭は二つに割れた。
しかし着地が巧くなかった。
ごす!!
頭から着地したクライ。
口から血の色をしたアワを吹いている。
「ケンタ、回復魔法だ!」
「・・・・・・」
「おい、ケンタ急げ!」
ケンタのいる方向を見る。
・・・また倒れてやがる。
フォースの魔法で精神力を使い切ったようだ。
と、言うことは
残りのピンピンした食人鬼と俺1ON1かよ!!
・・・15分後・・・
な、何とか倒した。
とりあえずケンタが気がついたのでクライを回復させる。
「ちっ」
舌打ちが木の茂みから聞こえた。
「誰だ!」
その茂みに向かって走る。
・・・居ない。
下を見ると名刺が落ちている。
『いつもニコニコ現金商売
株式会社 カイザー 社長 カイザー』
野郎、俺たちを張っていたか。
しかし本当に危なかったからな、あの社長の推測も当たっているといえば当たっている。
恐ろしい予知能力。
何とかクライも回復したが、ケンタもふらふらだしこのまま旅を続けるわけにも行かない。
もう少しでスモトのマイリー神殿だが、ツナで宿を取ることにした。
「なあ、何でニシノミヤから船に乗らなかったんだ?」
クライが尋ねてくる。
「簡単だよ、情報がリークされてるかもしれないからさ」
俺の代わりにケンタが答える。
「・・・誰に」
「誰と特定できる訳ではないけども、これだけの品だし狙われてもおかしくないからな」
「まあその為に色んなバケモノと戦ったて訳か、厳しいな〜」
こなが愚痴っている。
「って言ったってお前振り回されてるだけで歩いてないじゃないか」
俺が口を挟む。
「馬鹿野郎、お前はまだ俺の苦労が分かってないんだな、いつもいつも気持ち悪いバケモノのつぶれていく感触と言ったらもう最悪なんだぞ! 今度あのバケモノ天使が来たらお前を剣に変えるよう頼んでやる!呪ってやる!!」
・・・お前、いい事しないと人間に戻れないんだぞ。
明日の朝早くに到着したかったので今日は早く寝る。
かなり疲れたので皆すぐ爆睡状態に入った。
・・・その夜中・・・
今日もケンタは夜のとばりの中を一人歩いていった。